店内併設厨房でできたて料理を提供

セブンイレブンとファミリーマート、ローソンだけでコンビニ市場のシェア9割を占めるなか、セイコーマートの健闘ぶりは注目すべきものだ。とはいえ、北海道以外では茨城県に85店、埼玉県に11店(ともに3月末時点)のみとなっており、北海道以外の読者にはあまり馴染みがないかもしれない。筆者もその一人だった。そこで、どのようなコンビニなのかを確かめるべく、埼玉県さいたま市の「まんだな店」を訪れてみた。

<上>セイコーマートまんだな店(画像=著者提供)<下>人気の店内厨房調理「ホットシェフ」(編集部撮影)

店内に足を踏み入れると、まず店内調理品を展開する「ホットシェフ」コーナーが目に入る。セイコーマートの多くの店舗では、併設の厨房でカツ丼や豚丼、カツカレー、クロワッサン、おにぎりなどを調理し、できたてを販売している。米は厨房で炊き、クロワッサンも厨房のオーブンで焼いているという。これほどの規模で店内調理を行うコンビニチェーンは、ほかにはないだろう。

ホットシェフ以外の売り場構成は、ほかのコンビニとあまり変わりがない。大きく異なるのは品ぞろえだ。セイコーマートでは、地盤である北海道産の食材を使用した食品を多く取りそろえている。店内では、「北海道」と書かれた商品がいたるところに陳列されていた。

たとえば、セイコーマートのプライベートブランド(PB)のヨーグルトは、北海道豊富町産の生乳を使用している。豊富町は夏でも涼しく乳牛が過ごしやすい環境のため、放牧が盛んに行われる土地だという。そこで育った乳牛からしぼった生乳を、町内にあるセイコーマートのヨーグルト工場で加工する。

サンドイッチやサラダ、総菜などに使われる野菜も、北海道産のものを多く使用している。セイコーマートを運営する「セコマ」のグループ会社には、農業生産法人「北栄ファーム」がある。道内の農場で、自社商品用にトマトやキュウリ、ジャガイモなどを育てているのだ。

また、同じくグループ会社の「北嶺」は、道内の複数の漁港のセリ権を持つ。このため、サケやイカ、サンマなどの水産物を、仲卸業者を通さずに直接買い付けることができている。