仕事ができすぎるスタッフをどうすればいいか?

ときどき、「仕事ができすぎるスタッフに手を焼いています」という相談を、店長から受けることがあります。「なんと贅沢な、仕事ができるスタッフなら、問題ないでしょう!?」と思いますよね。

清水とみか『ローソン1万3000店の結論! 元気スタッフの育て方』(プレジデント社)

しかし、意外とこの問題で悩んでいるお店が多いのです。お店によってケースバイケースではありますが、事例を1つ紹介しましょう。

催事で毎回毎回、大活躍するスタッフがいます。催事の予約を集めるのが得意なのですから、当然、通常の接客もとても上手で、非常に優秀なスタッフです。それ自体に問題はないのですが、何でもできすぎるがゆえに、ほかのスタッフに対して不満が生じてしまうことがあるのです。

「自分はこんなにやっているのに、どうしてできないの?」「ほかの人たちは、がんばりが足りないんじゃないの?」と、イライラ不満が募ってしまうと、周りのスタッフにもその気持ちは伝わっていきます。すると、お店のチームワークが崩れてしまうのです。

お店のチームワークが乱れるのは困りますが、そのスタッフに悪気があるわけではありません。ほかのスタッフたちもがんばっていることを知っている店長は、どうすればよいのか頭を抱えてしまいます。

もし、そういうスタッフがいたら、「ほかの仲間があなたと同じくらいできるように、あなたのやり方を教えてあげて!」とお願いしてみましょう。

それだけ予約を集められる優秀なスタッフです。ぜひ全員のお手本になってもらうのです。「あなたの仕事ぶりが素晴らしいから、みんなのお手本として、教えてあげてほしい」と言われたら、悪い気はしないですよね。

仕事が苦手なスタッフをフォローしてもらい、一緒にやることで、ほかのスタッフはそのスキルを学ぶことができます。優秀なスタッフも、みんなにとって何が難しいのか、何ができないのかを理解することができるはずです。

「どうしてできないのか」から入ると、それが不満へつながっていきます。そうではなく、「どうすればみんなができるようになるか」を考えてもらうように導いていけばよいのです。

併せて、「あなたは影響力の強い人」であることも知ってもらいましょう。特に、新人スタッフにとって、萎縮させる存在ではなく、憧れの対象になってほしいことを伝えましょう。

店長が旗振り役となって、「みんなで一緒にやっていこう」「○○さんを真似して、みんなでスキルアップしよう」と目標を定め、全員の協力体制をつくります。その結果、個人のスキルアップとお店のチームワーク、双方を実現できるでしょう。もちろん、歩み寄ってくれた優秀なスタッフには、みんなが参加できたことに対する称賛を忘れないでくださいね。

清水とみか(しみず・とみか)
株式会社ローソン 運営本部シニアスペシャリスト「心のこもった接客担当」
東京海上日動火災保険株式会社に勤務後、ローソンに入社。2004年から現在のESおよびCS推進業務に携わる。「お客様のご満足はスタッフ一人ひとりの笑顔から!」、また「いろいろな声は吸い上げるものではなく、自ら聴きに行き、受け止めるもの!」が信条。社内専用ブログや社内テレビを立ち上げ、コミュニケーション活性化に努め、若い世代へ引き継ぐ。地味にコツコツ数多くの社員やフランチャイズのオーナー・店長・クルーのみなさまとの“笑顔の橋渡し役”として活躍中。
(写真=iStock.com)
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