解散説の出どころは2カ所

今のところ衆院解散風は首相周辺、そして野党から出ている。「首相周辺」の代表格は飯島勲内閣官房参与だ。4月17日、BSテレビ番組に出演した飯島氏は「早く衆院解散し、安倍内閣が重要課題に向き合う姿勢を知らしめてほしい」と明言。「5月23日公示、6月3日投開票」「6月27日公示、7月8日投開票」など具体的日程をあげた。

同じ頃、希望の党の玉木雄一郎代表も衆院解散説を唱えている。

飯島氏ら首相周辺と玉木氏の発言の狙いは、全く異なっている。飯島氏は、森友、加計、日報、セクハラなどの政府・与党の不祥事で野党が徹底抗戦していることに業を煮やし「これ以上、抵抗すると解散するぞ」と野党側をけん制する狙いがあるようだ。

自民党内の大勢は解散に反対

飯島氏といえばかつては元首相・小泉純一郎氏の秘書としてマスコミを縦横にあやつって政局の流れをつくってきた。郵政民営化関連法案が参院で否決されるやいなや、直ちに衆院解散に踏み切った時の判断も、飯島氏の助言があった。

解散をちらつかせて野党を黙らせようという手法は、しばしば用いられてきたが、他ならぬ飯島氏が言うと「ひょっとして……」と永田町がざわつくのだろう。

一方、玉木氏らの解散論は別の発想がにじむ。玉木氏が代表を務める希望の党と、民進党は今、合流・新党結成に向けて協議を進める。だが、双方の党内に異論は根強く、なかなか進まない。強行すれば造反者が多数出かねない。玉木氏はそういう状況を意識し「選挙が近い」という空気をあおり、野党結集・新党結成の起爆剤にしようと考えている。衆院選が近いと思えば「今のまま野党がばらばらでは勝てない」という機運が高まると踏んでいるのだ。

こうした解散を求める動きに対して、自民党内の大勢が反対なのは動かしようがない事実だ。支持率3割前後で勝つことは至難の業。しかも、昨年の衆院選から1年もたたない状況での選挙は、誰もが慎重になる。選挙で使った資金の「元が取れていない」のだ。