仮説検証の本質は「失敗からの学び」

高田社長とのインタビューで触れた「トルネード式仮説検証」とは、「そもそも何を目指すのか?」という方向性を決めた上で、PDCAを大幅に簡略化し、さらにビジネスの現場で実践できる具体的な方法論として体系化したものだ。

永井孝尚『売る仕組みをどう作るか トルネード式仮説検証』(幻冬舎)では、本稿で紹介した仮説検証思考について詳しく解説している。

「なかなか売れない」「閉塞感がある」と苦しむ日本企業は多い。現場でムリを重ねた結果、次々と不祥事が出てくる組織もある。危機意識がなく、正論が通らず、成果が上がらないことに時間を使い、「衰退パターン」に陥っているのだ。

一方でジャパネットたかたのように、日本では成長している企業も少なくない。一人一人が「これやりたい」と言う強い想いを持ち、「あるべき姿」を追い求め、仮説検証を正しく実行することで、仕事を「成長パターン」に変えることができる。

正しく勉強すればテストで良い点が取れるように、「成長パターン」になれば、結果として売上が上がる。 そうして取り組む仕事は、成果も出てくるし、面白くやりがいのあるものになる。

この仮説検証の本質は「失敗からの学び」だ。「コレやりたい!」と言う新しいことに挑戦し、失敗から学び続けることが、成長につながる。私たち一人一人がもっと自分がやりたいことを仕事でやり、かつ合理的に仕事をするようになれば、必ず日本の企業はよくなるはずだ。

「やってはみたいけど、ウチの会社では現実には難しいなぁ」と思うかもしれない。現実に会社の中で「トルネード式仮説検証」を行おうとすると様々な壁にぶつかることも少なくないが、これらの壁は必ず克服できる。著書『売る仕組みをどう作るか』では、その問題と対応策も紹介している。ぜひ参考にしてほしい。

永井孝尚(ながい・たかひさ)
マーケティング戦略コンサルタント
1984年慶應義塾大学工学部卒業、日本IBM入社。マーケティング戦略のプロとして事業戦略策定と実施を担当。さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当。2013年に日本IBMを退社。ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表に就任。執筆の傍ら、幅広い企業や団体を対象に新規事業開発支援を行う一方、講演や研修を通じてマーケティング戦略の面白さを伝え続けている。主な著書に『100円のコーラを1000円で売る方法』『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』(すべてKADOKAWA)、『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SB新書)、『「あなた」という商品を高く売る方法』(NHK出版新書)などがある。
【関連記事】
ジャパネットが93%の商品をやめたワケ
ジャパネット 一代で年商1700億の"習慣"
日本企業がアマゾンに"してやられた"理由
アマゾンの戦略は「孫子の兵法」だった
赤字企業2000社を黒字化した男の仕事術