実は、さかのぼること2009年。ケーキ屋・パン屋は女の子に就かせたい職業で1位に急上昇して以来、安定的にベスト10に入ってくる定着ぶりを見せています。好きなことをさせてあげたいという、優しい親心でしょうか。実際に、女の子を持つ母親に聞いてみると「親の理想を思い描いても、子どもの人生なので、子どもの将来はきっと思い通りにならないだろうし、人に迷惑をかけずに元気で生きてくれたらいい」という子育て観を持ち、できるだけ子どもの意見を尊重したいという気持ちが表れています。

また、「花屋」や「おもちゃ屋」でなく、「ケーキ屋・パン屋」というのもポイントのようで、別の母親からは「パティシエなら、一種の資格みたいな感じもするから、いいのかも」という意見が聞かれました。2008年頃にちょうどパティシエブームが起こったことも要因かもしれません。現在は、いろいろな職業がテレビや本で特集され、注目される機会も多くなってきています。今後は「好きを仕事に」という傾向は、親子ともに強くなってくるかもしれません。

昨今のこの状況下において、キャリジョたちの「自分の好きなことを仕事にしたい」という希望は約6割とまずまず高いです。一方で、「仕事に関して具体的な目標や夢などはない」も52.9%と半数を超えます。なかなか、好きな仕事を見つけること自体も、難しいものと言えるようです。

※博報堂キャリジョ研『働く女の腹の底 多様化する生き方・考え方』より

また、「収入や待遇よりも好きなことができるかどうかが重要だ」は31.9%。生活をしていくお金を稼ぐために仕事をするという意識も根本にあります。好きなことを思い切って仕事にすることは、やはり簡単ではないという現実的な考え方もいまだ根強くあるようです。