この他、あまりの暑さに耐えかね、5人で24人分のそうめんを大食いする「そうめん大食い事案」(2006年7月2日)、旧知の自衛隊将官の名を失念したアメリカ軍大佐が、連絡班の隊員と爆笑の会話を繰り広げた「バーコード先輩事案」(2006年6月11日)、別のアメリカ軍将校とアメリカンフットボールの球でキャッチボールをしていて、事務所のプリンタを大破してしまう「プリンタ破壊事案」(2006年5月17日)など、枚挙に暇がない。

派遣の意義が凝縮された一文

ダウンロードした日報を読むにはかなりの集中力を要したが、そのなかでも最も胸を打たれたのは、件(くだん)の連絡班が最後に残した、2006年7月18日のバグダッド日誌だろうか。サマーワ本体の撤収完了を間近に控えたこの時期に、世界最強の米軍に引けを取らない団結・規律・士気を保ちつつ、常にイラク国民と同じ視線に立ち、イラクの復興を心から願った活動を展開できた自衛隊を「誇りに感じて良いと実感している」と、この日誌の筆者は語っている。イラク派遣の意義はもちろん、自衛隊が存在することの意味、わが国の国際貢献のあり方、国際社会における日本の地位が凝縮された内容であり、ぜひご自身でPDFをダウンロードしてお読みいただきたい。

芦川 淳(あしかわ・じゅん)
1967年生まれ。拓殖大学卒。雑誌編集者を経て、1995年より自衛隊を専門に追う防衛ジャーナリストとして活動。旧防衛庁のPR誌セキュリタリアンの専属ライターを務めたほか、多くの軍事誌や一般誌に記事を執筆。自衛隊をテーマにしたムック本制作にも携わる。部隊訓練など現場に密着した取材スタイルを好み、北は稚内から南は石垣島まで、これまでに訪れた自衛隊施設は200カ所を突破、海外の訓練にも足を伸ばす。著書に『自衛隊と戦争 変わる日本の防衛組織』(宝島社新書)『陸上自衛隊員になる本』(講談社)など。
(写真=時事通信フォト)
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