大切なのは「家賃を払うようにローンを返済すること」。40歳のころに自分が退職する60歳までに返済しきれるような月々のローン返済額と頭金を計算し、20年の全期間固定金利でローンを組むのがおすすめ。

「住みたい家」でローンを組むと危険

60歳以降も働く意欲のある人は増えていますが、ほとんどの人は年収が確実に下がるため、60歳までに返しきれる金額から、物件を探すというのが無理のない買い方です。独身でも結婚していてもこの点は同じ。夫婦共働きといっても、年金でローンを返済し続けるのはやはり難しいものです。

またあえて固定金利をおすすめするのは、現状、変動金利は確かに低いですが、それだけ上がるリスクが高いということからです。もし、金利が上がってきたら固定金利に切り替えればいいと思っても、そのときには固定金利もすでに上がってしまっているというのが経済の約束事なのです。

注意したいのは、住みたい家を見つけてから住宅ローンを計算しないということ。どうしても借りすぎてしまい、返済に無理をしがちです。

「いずれ繰り上げ返済すればいい」と考えがちですが、繰り上げ返済にお金を回すと、老後資金を貯める余力は残りません。繰り上げ返済ではなく貯蓄を優先しましょう。

一方、一生賃貸でもいいという人がいるかもしれません。この場合でも、自分の将来の年金額から「それが可能かどうか」を検討してみてください。月々の年金で家賃を払う場合、自分が望むライフスタイルは実現できますか? 可能ならば賃貸でもOK。自分の年金額を知ることから始めましょう。

深田晶恵(ふかだ・あきえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
生活設計塾クルー取締役。外資系電器メーカー勤務を経て1996年にFPに転身。近著に『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』がある。
 

構成=相馬留美 写真=iStock.com