簡単に守れそうで守れない「子供を叱るときの3カ条」

塾講師の私が考える、子供を叱るときの3カ条は次の通りだ。

(1)他人と比べない。
(2)目の前で起こった出来事だけを注意する。
(3)短時間に叱り、なぜ叱られたかを最後に確認する。

(1)他人と比べない、の失敗例
「あなたはまだ繰り上がりの足し算もできていない。○○くんはもう割り算もできるのに」

そんな言い方で他人と比べられると、子供は心から悔しくなり、せっかく反省しようという気持ちがあったとしても、それを悔しさが上回り、聞く耳を持たなくなってしまう。結果的に親への反発心だけが残るので、自分のしたことや不足していることに向き合えない。

(2)目の前で起こった出来事だけを注意する、の失敗例
「どうして片付けが終わっていないの。昨日も片付けが遅かったし、前には××の忘れ物もしていたでしょ」

親が子供を注意しているうちに以前のことを思い出し、それとセットで問い詰めていくと注意の効果は激減する。子供は「ただ注意された」という事実だけが記憶に残るのだ。だから、子供は反省しているそぶりを見せても、その場が過ぎ去るのを待つようになる。

(3)短時間に叱り、なぜ叱られたかを最後に子供に確認する、の失敗例
「何が悪かったのか、わかった?」「わからない」
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Fertnig)

同じような過ちを繰り返す子の場合、親が注意していることをきちんと理解できていない可能性もある。特に、未就学や小学校低学年だと要注意だ。長く叱ったわりには、何が悪いのか子供が理解できていないことがある。明日の学校の準備を全然していない子にひと通り叱ったあと、何が悪かったのかを聞くと「お母さんを怒らせたのが悪かった」と答えてしまう。そんな不毛な時間は避けたい。

だから、短時間に簡潔に叱って、少し優しく聞いてほしい。「何が悪かったのか、次にどうすればいいかを教えて」。そして少しずれているなと思ったらその場で修正して、復唱させる。このアプローチは子供でも、新入社員でも同じこと。どうせ注意するなら、効率よく叱りたい。