野党は国政調査権をフルに使え

朝日社説は「きのうの国会では、誰がどのような判断で森友側への働きかけを決めたのか、より具体的な事情は明らかにならなかった」とも指摘する。

いまこそ国会の能力が試されている。ロッキード事件やリクルート事件のときのように野党は自らの国政調査権をフルに使って財務省から真実の答弁を引き出してほしい。

そうすることによって櫻井よしこ氏のような「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」という偏った発言もなくなるはずである。

朝日社説は「深刻なのは、この問題に正面から向き合う姿勢が、首相や麻生財務相にいまだにうかがえないことだ。とりわけ財務省のトップである麻生氏の監督責任、政治責任は重い。真相解明の先頭に立つのでなければ、職にとどまる意味はない」と訴える。

その通りなのだが、麻生氏を更迭したところで、「安倍政権の負の面」が解決するとは考えられない。安倍首相自身が負の落とし子の存在を自覚し、それを心底正そうとする必要がある。

読売には手厳しく批判してほしい

次に読売社説を見てみると、「自衛隊イラク派遣部隊の日報問題」といっしょに森友問題を論じている。安倍政権寄りの読売社説が、正面からこの2つの問題を社説のテーマに取り上げるのは、評価できる。櫻井氏はこの読売社説を読んだだろうか。

ただこの読売社説は3分の2が日報問題で占められている。スペースの問題ではないが、半々ずつ論じたほうがよかった。

読売社説は「失態は防衛省にとどまらない」と書き、財務省の口裏合わせの問題を取り上げている。

「規範意識の欠如したあるまじき行為だ。太田充理財局長は決算委で『誤った対応だ』と述べた。財務省は決裁文書の改ざんと、値引きを巡る疑惑について説明責任を果たすことが求められよう」

「説明責任」は当然の話だ。読売社説にはもっと手厳しく批判してほしかった。そうすれば安倍首相も負の落とし子を自覚するだろう。

蛇足になるが、日経新聞と産経新聞は10日付の社説では口裏合わせの問題を取り上げていない。日経は一般紙というより経済専門紙だから無理もないのだが、読売新聞以上に安倍政権寄りの産経新聞には、ぜひ10日付の社説(主張)で取り上げてほしかった。

(写真=時事通信フォト)
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