衆議院で民進党の旗を掲げてもらいたい

【塩田】労働組合の連合との関係は。

【大塚】良好な関係を維持しています。しかし、連合の組織内議員も産業別組合によっては難しい状況に直面しています。希望の党と立憲民主党と民進党の三つに分かれた産別もあれば、希望の党だけとか民進党だけに議員が在籍している産別もあり、関係者は悩んでいます。その状況は解決しなくてはなりません。

【塩田】民進党の衆議院議員が国会の会派として無所属の会を結成しました。

【大塚】この点は大きな課題です。代表の岡田さんは、「無所属の会の中には、民進党の党籍を持っていない人もいる。党籍はあっても、総選挙に無所属で出た以上は国会活動で民進党と名乗れない人もいる。無所属の会を結束・維持していくには、民進党を名乗ることができない。名乗った瞬間にばらばらになっていく」と主張しています。

心情としては、総選挙を無所属で戦った議員の気持ちは私も理解はできます。しかし、衆議院議員が民進党を名乗らないために衆議院で民進党の存在感がなく、地方議員や参議院議員は困っています。岡田さんは、地道に活動して機が熟すのを待てという主張ですが、そうであればなおさら衆議院で民進党の旗を掲げ、地道に活動するべきです。残念ながら、論理矛盾を起こしていますね。

【塩田】一般の国民から見ると、非常にわかりにくいのですが、無所属の会は民進党の一部と理解していいのですか。

【大塚】実態的には完全にそうとは言い切れない。民進党籍の衆議院議員は法的には同じ党の一員ですが、民進党籍がない無所属議員も無所属の会に入っているので、完全に同じ党とは言えません。また、無所属の会に入っていないものの、民進党籍を有している衆議院議員もいます。

【塩田】政党には国会議員の人数に応じて国家予算から政党助成金が出ます。党がこういう状態だと、政党助成金で問題が生じることはないのですか。

【大塚】問題が起きているわけではないのですが、無所属の会に所属する議員の対応については批判もあります。法的には何の問題もないのですが、民進党を名乗らないのに、民進党籍を有し、民進党議員として政党助成金の交付対象になっているのはいかがなものかという批判です。

一方、民進党籍を有しているものの、政党助成法の届出議員の署名をしていない議員もいます。無所属の会に所属している議員と、所属していない議員双方がいます。これらの議員は、総選挙を無所属で戦ったことのけじめとして、当面は民進党議員として助成金の対象にはならないという判断をしています。

ここにも論理矛盾が生じています。無所属の会所属議員の対応が全員一緒ではなく、対応が分かれている。また、一部議員は無所属の会に所属していない。誰の対応が合理的、論理的かということが混沌としており、大いなる矛盾を抱え込んでいます。

大塚耕平(おおつか・こうへい)
参議院議員・民進党代表
1959年、愛知県名古屋市生まれ。愛知県立旭丘高校、早稲田大学政治経済学部卒。83年に日本銀行に入行。金融政策の企画・運営に携わり、政策委員会室調査役を最後に退職。在職中に早大大学院博士課程を修了し、博士号を取得。専門はマクロ経済学。2000年に日銀を退職し、01年の参院選に民主党公認で愛知選挙区から出馬し当選(現在3期)。鳩山由紀夫内閣で内閣府副大臣、菅直人内閣で厚生労働副大臣等を歴任。現在、早稲田大学総合研究機構客員教授と藤田保健衛生大学医学部客員教授を兼務。著書に「公共政策としてのマクロ経済政策」「3・11大震災と厚労省」「『賢い愚か者』の未来」など。仏教研究家として中日文化センター仏教講座の講師等を務める。仏教関係の著書に「仏教通史」「四国遍路と般若心経」など。
(撮影=尾崎三朗)
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