売り上げや利益が、すぐに出ないときは

今、日本のメーカーが苦戦しているのは、モノづくりだけでは競争力が保てなくなっているからです。そこで重要になるのが、モノとサービスとビジネスモデルを三位一体でつくり上げることです。そのためには、それぞれのプロトタイピングが重要であり、その次に事業化のプロトタイピングが必要になります。しかし、新規事業においては特にプロトタイピングが疎かにされがちです。事業を始めて、最初から売り上げや利益が出ないと、すぐに失敗と見なされてしまいます。

新規事業は、大抵、その企業にとって新たな領域へのチャレンジになりますから、わからないことが多いのは当然です。したがって、最初のフェーズは情報収集を目的としたプロトタイピングと位置づけるべきです。そうすれば、最初に痛い目に遭ったとしても、そこから多くの情報を得て、次のフェーズで修正していくことができます。

モノからサービス、ビジネスモデル、新規事業と、複雑度が高まるほど、プロトタイピングは疎かになりやすくなります。その理由は、考えるべき要素が多すぎるために、手に負えなくなり、考えることを諦めてしまうからです。

プロトタイピングを分類して理解することが大切

新規事業は、外国語を学び始めてすぐにいきなり原文を読まされるようなものです。わからない単語があれば辞書で調べますが、辞書には複数の意味が載っており、どの意味を選ぶかは、他の単語との組み合わせによって決まります。しかし、最初はわからない単語ばかりなので、意味と意味の組み合わせが膨大になり、手に負えなくなってしまいます。これが、新規事業のプロトタイピングの難しさと言えます。

その難しさを乗り越えるためには、プロトタイピングを分類して理解することが大切です。プロトタイピングには、自ら計画して実施する狭義のプロトタイピング(タイプI「正統派」)のほかに、3タイプがあります、それらを組み合わせて行うことで、プロトタイピングを活用できるようになります。