それにはどうすればいいのか。集団のパフォーマンスにおける個人の貢献を測る適切な方法とはどのようなものか。これはあまり関心を集めてこなかった問いである。

その答えを考えるために、まずは話を単純化するため、個人はどのような集団に所属していても、多かれ少なかれ常に貢献すると想定しよう。一つの方法は、さまざまな集団における一人ひとりの個人的貢献を測ることだ。ちょうどアイスホッケーチームがプラスマイナススコアを使って各プレーヤーの貢献を測るように。アイスホッケーの考え方とは、優れたプレーヤーが氷上に出ているときチームは多く得点し、相手チームの得点は少なくなるというものだ。つまりプレーヤーの質はプラスマイナススコア、すなわちそのプレーヤーが氷上にいたあいだのチームの得点から、相手チームの得点を引いた数で表される。

集団が問題を解決するうえで、あるメンバーがどれだけ貢献したかを測るのにも同じような方法が使える。その人物が居合わせたとき、集団が問題解決に成功した頻度、あるいは失敗した頻度はどの程度か。集団のパフォーマンスに毎回確実に貢献し、高いプラスマイナススコアを得る人物は、重要な意味において「知能が高い」と言える。これは知識のコミュニティを念頭に置きつつ、集団知能を個人の貢献に変換する方法となりうる。

チームへの貢献度で部下を評価せよ

このような測定方法を、現実に使いこなすのは難しいかもしれない。ひとつ問題なのは、成功と失敗がアイスホッケーの試合のように明白ではないケースも多いことだ。賞を獲得するほど高い評価を受けても、実際には売れ行きがふるわない製品というのは成功だろうか、あるいは失敗だろうか。もうひとつ問題なのは、2人の個人が一緒に活動することが多い場合、どちらかの成功はもう一方の貢献の表れかもしれないということだ(社交的とされる男性が、実は配偶者の顔が広いだけだったりするのと同じことだ)。

しかし基本となる原則は有効だ。ある企業役員が優秀で活動的で、話がうまく、周囲を鼓舞する才能があるように見えても、この人物が参画するプロジェクトが失敗しがちであれば、高額なボーナスを支払うのは考え直したほうがいいかもしれない。また管理職が部下を評価するときには、頭の回転が速く魅力的な人物であることと、社業への貢献度を混同しないことが重要だ。上司が考慮すべきは、特定の従業員が関与しているプロジェクトが、ほかの従業員のものと比べて高確率で成功しているかどうかである。

農業を営む者であれば、難しいのが土壌を整える段階であることはみなわかっている。種をまき、その成長を見守るのは比較的たやすい。科学と産業の場合、土壌を整えるのはコミュニティだが、社会はたまたま良いタイミングで種をまいた人物に手柄をすべて与えがちだ。種をまくこと自体には、必ずしも圧倒的知能は必要ではない。むしろそれが必要なのは、種がよく育つ環境を整える作業だ。私たちは科学、政治、産業、そして日々の生活において、コミュニティにもっと正当な評価を与える必要がある。

スティーブン・スローマン
認知科学者。ブラウン大学教授(認知・言語・心理学)。《Cognition(認知)》誌の編集長をつとめる。
 

フィリップ・ファーンバック
認知科学者。コロラド大学リーズ・スクール・オブ・ビジネス教授(マーケティング論)。