「トランプの四面楚歌状態は続いている」

トランプ米大統領が誕生して1年余り。米国内やホワイトハウス(WH)は混乱のさなかだ。

「米国は今や分裂した“内戦状態”。米国人100人中、政権への賛同者は30人程度。トランプの四面楚歌状態は続いています」――著者は米国在住のジャーナリスト。本書でそんな米国の「今」を、トランプを軸にリポートしている。

「米国の大統領はこんな下品で、無教養で、差別主義者で、女たらしでスケベな男がなるポストではない、という国家の大前提をめぐる激しい対立が継続中です」(著者、以下同)

米国はまだまだキリスト教の国。そこに由来する人道主義、貧者救済の精神の根強さは、日本の比ではないという。

「日本の大手メディアの記者諸兄に、こうした米国社会のエッセンスを理解する人たちがいるのか疑問。トランプのインチキ性や朝令暮改的な発言、人品骨柄について、英国やフランスのメディアのようにバシバシと書くべきです」

そんなトランプをWHに送り込んだのは反オバマ(前大統領)、白人至上主義、反非白人・反非白人移民主義、反エリート主義を標榜する大衆迎合主義=ポピュリズムだ。

「とにかくオバマが大嫌いだった白人のバックラッシュ。黒人がWHを占拠していることに耐えられない人種差別観と、オバマを担ぎ出して当選させた東部、西部のエスタブリッシュメント(既成勢力)に対する反発です」

このあたり、旧民主党政権へのバックラッシュにも押し上げられた安倍政権と重ね合わせることもできそうだ。