情報を取って仮説を立てることが大事

しかし物流や商品開発の面で難しく頓挫しているところにこの話が持ち上がったのです。薬を置きたいコンビニと、コンビニ商品を置きたいドラッグストアとが一体型店舗をつくることで、両者の売り上げはグンとアップしました。

ドラッグストアには行ってもコンビニはほとんど利用していなかった女性年配層と、コンビニには来てもドラッグストアには行かなかった男性層などが、店舗が一体化したことでそれぞれの商品をも試してみるようになったのです。

そうやってオープンした一体型店舗の中には、周囲のコンビニを閉鎖に追い込むなどの“コンビニキラー”として話題になった店舗もあったほどです。

そのほかにも農協との一体型店舗などいくつかの店舗があります。これらは先に述べた2つのニーズを一緒に満たす好例ではないでしょうか。

これまで見たことのない店舗を実現させつつ、中身はすでに見知った商品群を扱っているのです。「売れる化」には、「売れる商品」をつくる必要があるほか、「売れる販売方法」「売れるパッケージ」「売れるサービス」など、いくつもの要因が絡んできます。自分の頭でまず「売れるのではないか」という商品なりサービスを思いついたら、情報を取って仮説を立て、実施してみることです。

失敗しても大丈夫。その失敗は必ず次の成功の糧となります。どんどんチャレンジしていくことが大切なのです。

時短サラダと、育てるサラダ

いま、日本中でサラダが売れています。サラダバーを用意している飲食店は大人気で、サラダの専門店も次々にオープンしています。コンビニでは弁当コーナーのサラダだけでなく、家で自在に利用してもらえるようなカット野菜も好評です。

ファミリーマートの「育てる」シリーズ。(同社のプレスリリースより)

例えばサラダ用のカット野菜としては、オニオンサラダや、レタスミックスサラダにキャベツミックスサラダなどがありますが、そのほかにも野菜炒め用や鍋物用、チャーハン用にそれぞれ野菜をカットして袋詰めにした商品を提供しています。以前の項でも述べましたが、単身者や高齢者、共働き世帯の増加で、自宅で一から調理する家庭が減ってきている中、野菜を丸々一個買わない家庭も増えているのです。

キャベツ一個、レタス一個の大きさは、複数人が数回に分けて食さなければ、食べ切る前に悪くなってしまうこともあります。2人暮らしや単身者の場合、これらの野菜をスーパーで買い込んでも食べ切れない場合も多いのです。また、時間的な問題もあります。

忙しい日々の中で、そもそも野菜を洗ってむいて切って、という時間すら惜しいという家庭も多いのではないでしょうか。