重要なのは自分自身の意思と力。アメリカ頼みの強気外交は間違いだ!

まず本物の交渉と、学者や自称インテリの議論の決定的な違いは、前者は生々しい利害・利益がぶつかり合う場。後者は自説・持論・意見がぶつかり合う場。前者は自分の損得に直接に影響してくるけれど、後者は基本的にはメンツの話。

前者、すなわち自分の具体的な利益にかかわる本物の交渉の場では、皆命懸けだよね。これが政治家や弁護士の交渉の場。役人の議論はインテリの議論に近いね。最後は論理的整合性やメンツの話になる。だから妥協・譲歩もしにくくなる。ゆえに役人の議論においては、最後は政治が介入して妥協・譲歩をしなければまとまらないことが多いんだよね。

そして外交は、もちろん国の利益と利益が激しくぶつかる場。「武力を使わない戦争」とまで言われているよね。

このように激しく利益と利益がぶつかり合う交渉の場で、交渉当事者が認識すべき最も重要なポイントは、自らが事態を動かす「意思」と「能力」「力」を持って交渉に臨まなければならないということ。自らの「意思」と「能力」「力」でもって、相手を脅したり、利益を与えたり、お願いしたりして事態を動かしていく。

北朝鮮も韓国も自らの「意思」と「能力」「力」をフルに駆使して臨んでいる。

北朝鮮は世界を相手にして、核兵器保有の意思を貫き、その能力保有まであと一歩のところまで来ている。この意思と能力が相手に対する「脅し」となって事態を動かしていることは間違いない。また非民主的な独裁国家においては、兵士の命がそれほど重んじられることはないということも相手に対する強烈な脅しとなっている。やるときにはとことん行きまっせ、という意思が重要なんだよね。

韓国は核兵器を保有していないという劣勢事情がある。さらに民主国家においては兵士の命を軽んじるわけにはいかない。ゆえに韓国は、軍事力では明らかに北朝鮮に劣る。もちろんアメリカ軍や国連軍の力を借りることはできるが、それは韓国自身の力ではない。

文在寅韓国大統領は弁護士でもあるので、この点を知っているのか、知らないのか、いずれにせよアメリカ軍や国連軍の力を頼って自分の力が強いものと錯覚していない点は賢い。虎の威を借りる狐にはなっていない。

ゆえに、自身の軍事力では北朝鮮に劣り、その北朝鮮と地続きで隣に位置する韓国は、北朝鮮と軍事的に一戦を交えるわけには絶対にいかない。だから、文大統領・韓国は北朝鮮を「脅す」方法は採り得ず、自らの「意思」と「能力」「力」をもって「利益を与える」「お願いする」という融和姿勢で臨むしかない。そして、文大統領は実際にその姿勢で臨んでいる。

この点、日本の威勢のイイ政治家や威勢のイイ自称インテリたちは、韓国は弱腰だ! と批判するけど、「じゃあ、あんたが韓国国民の命を預かる韓国大統領だったらどうするの?」と問えば、結局黙り込み、文大統領と同じ方策を採らざるを得なくなる。韓国が北朝鮮に対して圧勝するほどの軍事力を「自ら」持った場合以外は、融和で行くしかないんだよね。

(略)

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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.99(4月10日配信)を一部抜粋し、修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【緊迫・北朝鮮】これが外交にも使える「橋下流」超実践交渉ノウハウだ》特集です!