米朝関係が劇的に変化すれば、秋の中間選挙に有利に働くといった説も一部専門家から出ています。しかし、果たしてそうなのか。米朝首脳会談開催の可能性が伝えられた後、トランプ大統領の支持率が上がったかというと、3月12日から18日の支持率は、その前と全く変わっていません。(*注2、支持率39%から40%、不支持率は56%前後)

「北朝鮮との関係がどうなろうと、アメリカ国民にはあまり関係ない」(世論調査機関関係者)んです。

米朝首脳会談を一応受け入れたタイミングで、レックス・ティラーソン国務長官を解任した背景には、北朝鮮に対する核放棄の要求が本気だということをクリアにさせる意図がありました。ティラーソン氏は国務長官就任当時、外交・軍事問題ではずぶの素人でした。ところが就任後は外交通を周りに侍(はべ)らせ、徐々に外交に自信をつけてきました。ともすれば、トランプ大統領の外交政策とは微妙に異なる発言を繰り返してきました。

その一つが対北朝鮮政策でした。「もともと先制攻撃などできっこない」と冷ややかに見ていた節がありました。ティラーソン氏をこのタイミングで首にしたのは、「核・ミサイル開発破棄」に対する大統領の本気度を北朝鮮に示そうとしたのだと思います。

かつて「金正恩排除」も示唆した次期国務長官

国務長官の後任には、「大統領の忠臣」と言われる対北朝鮮強硬派、マイク・ポンペイオ米中央情報局(CIA)長官が指名されました。ポンペイオ氏は3月11日のテレビ・インタビューで早速、「核実験とミサイル発射実験の停止に加え、非核化への関与などの約束が守られないのであれば、首脳会談は行われない可能性もある」と警告しています。大統領の考えを代弁していると見ていいでしょう。

CIA長官就任直後の昨年7月には、ポンペイオは安全保障関連のフォーラムで、北朝鮮について「最も危険なのは核兵器を支配している人物だ。最も重要なことはそうした核兵器とそれを使用する意図を持つ者とを分離することだ」と、金委員長の排除を示唆するとも受け取れる発言をしています。