ヒット商品「ファイブミニ」は3人の女性研究者が開発

17年1月、代表取締役社長の樋口達夫氏の名前で出された「大塚製薬健康宣言」。健康経営は、同社が社員の健康管理、健康増進を経営戦略に位置づける考え方だ。

従来の健康管理は社員が病気になることを防ぐ目的で、かかる費用はコストと捉えられがちだった。健康経営においてその費用は投資と考え、組織力の向上を目指す。もっと言えば、企業が社員の健康に投資することによって、社員の仕事のパフォーマンスが上がり、その結果、自社の業績が伸びるという経営の新しい視点、戦略だ。

今、健康経営に興味を持つ企業が増え始めている。

▼一歩先を進む「弱者の戦略」
常務取締役 本社部門担当 渡辺達朗さん

ポカリフレッシュにせよ、ピロリ菌検査にせよ、他社が始める前に手掛ける。常務取締役の渡辺達朗さんはそれを「弱者の戦略」と説く。

「当社は今でこそグループ全体で4,5万人の企業に成長しましたが、もともとは強豪とは争わない戦略を取ってきました。人の数、財力、ITインフラ、時間で真っ向勝負しても勝ち目はない。だから人まねはしません」

健康経営も潮流になってから始めたのでは意味がない。他社に先んじて取り掛かることが重要だ。

それはダイバーシティも同じ。そういえば、手軽に食物繊維がとれるという触れ込みで1988年に販売すると、瞬く間にヒット商品になった「ファイブミニ」は、3人の女性研究者が開発した商品だった。

「当社の経営の根幹は、人の強みを活かすこととダイバーシティ。仕事の機会に男女での差はありません。この人にこの役割を果たしてもらいたいと思うから、チャンスを与えるのです。それをどう受け止めるかは本人次第」