震災後でも譲れない400万円の壁　 3.11後の結婚事情【2】

図16／図17

図16を見てほしい。震災後、女性が結婚相手に求める条件で、第1位に入ったのは「イザというときに頼りになること」。そして、20代女性の64.1％は、相手は肉食系がいいと言っている（図17）。

「女性は『安定』のための結婚を求めるから、身の不安を感じたときに男性の『生命力』を意識する。でもだからといって、スペックを軽視しているわけではない。経済力も生命力も両方欲しい、さらに一つ条件が増えた、というのが現実でしょう」（山田教授）

学歴に関しても、「女性が『相手の学歴は気にしない』と答えるのは、今や大卒以上は当たり前であって、あえて言うまでもないという意味合い。震災後も、学歴を気にする女性は大勢います。だからスペックがいい男性が有利であることには変わりはありません」（岸野氏）

図18

とくに年収など「スペック重視」の傾向が強いのは、高年収女性だ。図18を見ても、「学歴や経済力より、たくましい生命力を求めるようになった」と答えた女性は、年収200万円未満では約4割いるが、600万円以上では2割弱しかいない。「彼女たちにもう少し柔軟性を持ってほしい」と、岸野氏は言う。

現実には、執拗に相手の条件ばかり気にしていると、なかなか結婚できない。

図19

多くの独身女性は、すでにそれに気づいている。だから早婚願望が高まった今、男性のスペックに目を光らせつつ、それだけでは切り捨てない「人柄重視」が顕著になったのではないか、と岸野氏。調査でも、30代女性の約3割が、震災後相手の条件を広げたと答えている（図19）。となれば、学歴や年収に自信がない男性も、巻き返しを図れるチャンスはある。では、女性たちが結婚相手に求める「人柄」とは、どういった男性像なのか。岸野氏いわく、震災後は、「決断力」「行動力」を求める女性が多いそうだ。

たとえばメニューを決める際、女性に「どれがいい？」と聞かれたら、即座に「これにしよう」と返す。それだけで決断力を示せると、岸野氏。そこであれこれ迷わないためには、仕事同様、水面下で下準備をしておく必要もあるだろう。

「震災後は、自衛隊の男性会員の人気が急上昇しています。被災地で人のために尽くす姿（映像）を見て、『頼れる』と感じた女性も多かったようです」

※すべて雑誌掲載当時