「3月末から4月の上旬にかけては、卒業、入学、入社などで人が動きます。その時期に、一番近いモスバーガーはここですよ、とわかっていただくためです」

しかしチラシを撒く範囲を広げると、近隣の店とエリアがかぶってしまう。フランチャイズの加盟店からすればありがたくない話だ。そこで1枚のチラシに複数の店舗を掲載することでそれを解決。

さらにこの時期は「とびきりハンバーグサンド」の第二弾キャンペーンとも重なっていたので、この商品ポスターを山手線の主要駅構内で展開した。

「B0サイズの大型ポスターを二面でつなげたり、四面でしつこく見せたり。“山手線内をジャックする”というところまではいきませんでしたが、相当目につくところに置けたと思っています」

と齊藤氏は振り返る。

定例会議の進行役は、議題によってその都度代わる。つまり夏のキャンペーンについての会議ならその担当者が司会も務めるというように、それぞれの担当者が仕切るのが決まりだ。

「実行部隊の者が仕切るほうが効率的ですから。私はどちらかというと全体の流れを見ていて、たまに方向性をアジャストするくらいですね」

と齊藤氏。その際の判断基準は、お客様の立場に立って考えたとき、それが本当にベストかどうかということである。

「言い方はちょっとキザですが、会社としてのスタンスよりも、お客様のご利用シーンから考えるようにしています」

そしていまモスが取り組んでいるのが、若年層の取り込みである。冒頭で紹介したCMはその一例だ。

「いままで大人のお客様に向けてきちんとした商品を提供するという戦略をとってきた関係で、どうしても大人が使いやすい店になっています。いままでのお客様を大切にしながら、もっと幅広い客層に来ていただくようにしたい」(齊藤氏)

(増田安寿=撮影)