働く喜びは自分の感じ方ひとつ、どんな中にも見つけられる

社員から給与引きで寄付をつのる「花椿基金」や災害発生時の義援金などに対応。現在は地域事業所で取り組む社会貢献活動「未来椿活動」の事務局運営に携わり、XP(色素性乾皮症)の子どもたちへの支援活動も行っている。XPとは紫外線に当たると高い確率で皮膚がんを発症する難病で、日中の外出が困難な子どもたちにサンケア商品を寄贈して喜ばれてきた。

さらにナレーターを務める『おしゃれなひととき』では制作も担当している。「目が見えないと失敗するのが怖くて、メイクをあきらめてしまう人もいます。安心して試せる方法を伝えたいし、より多くの方に喜ばれる情報を盛り込みたい」

同じ職場の仲間は、奥沢さんのひたむきな仕事ぶりに励まされるという。奥沢さんもまた結婚、出産を経て復職。周りの人に支えられながら子育てと仕事に奮闘する日々だ。

「今こうして働けることが喜びであり、ありがたいと思う。だからこそ、自分にできることを一生懸命やりたいし、それが意欲につながっている。働く喜びは自分の感じ方ひとつで、どんな中にも見つけられるのだと思います」

これからも生き生きした自分でいられるよう、そんな姿を周りの人や娘にも見てもらえるようがんばりたい、と願う奥沢さん。

「その人自身が生き生きしているからこそ、おしゃれやお化粧が映えるもの。自分自身の内面の美しさを磨くことも大切にしていきたいですね」

それこそが、今を生きる女性たちに届けたいメッセージでもあるのだろう。

奥沢美砂

資生堂ジャパンCSR部

1996年、埼玉県立浦和第一女子高等学校卒業。2000年、東京音楽大学(ピアノ専攻)卒業後、株式会社資生堂に入社。社員による社会貢献活動の推進、視覚障害者向けの美容情報「おしゃれなひととき」制作・ナレーションを担当。会社のコーラス部に在籍。

撮影=石橋素幸