「こんなの初めてです」と言われ有頂天になる上司

写真はイメージです(写真=iStock.com/Milatas)

女性の場合は、明らかなおべっかは「嘘臭い」と見抜くのだが、男性の場合は、素直に喜び、調子に乗るところがある。「男はプライドの生き物、そのプライドをくすぐる『3つの言葉』で男は転がせる」と恋愛心理学の先生に教わって以来、筆者は、その3つ「すごい」「ありがとう」「こんなの初めて」を「人生訓」にしているが、確かにその3語の使いまわしで男性のモチベーションはぐんと上がる気がする。

自分がそれだけほめられたいのに、他人をほめることには抵抗がある男性。一方、女性は自分がほめられたいから、相手もほめる。女性にとっては、ほめることなどお茶の子さいさい。お互いをひたすらたたえ合って、ほめ力をぐんぐん鍛えるのだ。

▼日本人はみんなほめられたくてウズウズしている

アメリカの調査会社ギャラップの調査によると、人は働きを認められ、ほめられると、生産性は向上し、勤労意欲、忠誠心は増し、帰属意識が高まり、会社への定着率が上がる、という。

転職が盛んなアメリカにおいては、優秀な社員をつなぎとめておくためにも上司の「ほめ力」は欠かせない。戦略コンサルティング企業、マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、たとえ報酬を上げなくても、(1)上司からの称賛(2)幹部(リーダーシップ層)からの評価(3)プロジェクトやタスクフォースの仕事を主導するように任せる、という3つの方法で、コストをかけずに、社員のやる気を刺激できるとしている。

なぜ、「ほめること」は人のやる気を刺激するのか。

それは仕事が認められ、称賛されることによって、脳内に「生きる意欲を生み出す快楽ホルモン」ドーパミンが放出されるからだ。ほめられることによって、自分の価値を再認識し、自分が必要とされていると感じることができる。最も強力な動機付けツールなのに、日本人はその活用を怠っている。

ほめられたいのに、ほめられない。ほめたくても、ほめられない。日本のおじさんの「ほめられない」苦悩の淵はマリアナ海溝よりも深いのだ。

(写真=iStock.com)
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