公務員がiDeCoに掛けられるのは年14.4万円まで

冒頭で少し述べた通り、iDeCoの最大のメリットは「税制面での優遇」です。具体的には次に3つです。

●掛け金の全額所得控除。所得税と住民税が安くなります。
●運用期間中の利益や分配金が非課税。通常の場合は20.315%の税金がかかります。非課税の分を再投資すれば、複利効果で有利に運用できます。
●60歳以降の受取時の税制優遇措置。退職控除や年金控除が使えるので、受け取り方によっては税金がゼロ、もしくは軽減されます。

iDeCoの掛け金は、職種などによって上限が定められています。2018年3月現在は以下の通りになっています。

●自営業者やフリーランス:年81万6000円(月6万8000円)
●企業年金がない会社員:年27万6000円(月2万3000円)
●企業型確定拠出年金だけに加入している会社員:年24万円(月2万円)
●企業型確定拠出年金と確定給付年金のある会社員:年14.4万円(月1万2000円)
●確定給付年金だけの会社員:年14.4万円(月1万2000円)
●公務員:14.4万円(月1万2000円)
●主婦・主夫:年27万6000円(月2万3000円)

▼「お得な制度」であることを公務員はよく知っている
写真はイメージです。(写真=iStock.com/5xinc)

公務員の年間の上限は年14万4000円。相対的にみて、大きな金額ではありません。にもかかわらず、公務員の人の加入率が高いのは、iDeCoが「利用しないともったいない制度」であることの証左と言えるのではないでしょうか。それだけ、公務員は「お得な制度」だということを知っているということでもあります。

実際、どれくらいメリットがあるのでしょうか。どれくらい税金が安くなるかは、以下の計算式で分かります。

iDeCoの掛け金×(所得税率+住民税率)=節税額

住民税率は10%で一律ですが、所得税率は収入によって異なります。収入が高い人ほど所得税率も大きいので、節税効果も大きくなります。

【所得税率】
課税所得195万円以下→税率5%
課税所得195万円を超え330万円以下→税率10%
課税所得330万円を超え695万円以下→税率20%
課税所得695万円を超え900万円以下→税率23%
課税所得900万円を超え1800万円以下→税率33%
課税所得1800万円を超え4000万円以下→税率40%
課税所得4000万円超→税率45%

ちなみに、この「課税所得」は年収のことではありません。年収からさまざまな控除を引いたものが課税所得なのですが、配偶者や子ども、扶養家族の有無などによって控除が異なります。同じ年収の人でも、家族構成によって、課税所得は異なるのです。

会社員の人であれば、源泉徴収票をチェックしてください。「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計金額」を引いたものが「課税所得」となります。