「ホテル・ロボット・エネルギー・植物工場」に力を入れる理由

欧米の後追いだけではおもしろくない。日本からも新ビジネスを発信して、お金の好循環を生み出したい。そこで私は「ホテル」「ロボット」「エネルギー」「植物工場」に力を入れています。

時事通信フォト=写真

アジア諸国では中間層が増え、海外旅行を楽しむ人が増加したことで、来日観光客は右肩上がりで、ホテルが不足しています。とはいえ普通のホテルでは、アピール力が弱い。そこでハウステンボスで成功した「変なホテル」というロボットを活用した、生産性の高いホテルを展開しています。今後1年で10軒程度、5年以内に100軒に増やす計画です。海外展開も進め将来的に世界1000軒を目指します。

また、世界の人口は爆発的に増えており、近い将来エネルギーと食糧不足の時代が訪れます。そこで現在、シール状になった太陽光フィルムを開発中です。また、新型蓄電池の開発にも着手していて成功すれば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池に比べて安価で、充電サイクル回数も10倍以上という高性能な蓄電池が誕生します。

そして、食糧不足の解消に有効なのが植物工場です。砂漠や寒冷地など農業に適さない場所でも作物がとれるようになります。植物工場は現在、建設費用や光熱費が高いことなどで普及が遅れていますが、前述したロボットやエネルギー技術を活用することで大幅なコストダウンが可能になります。

このほかハウステンボス園内で使える電子マネーの実証実験を始めました。当社が所有する金(1トン=約50億円相当)を裏付けとしたもので、「1テンボスコイン(仮称)=1円」で換金します。将来は全国に広げていく考えです。

最後に私が考える株式投資の3つのポイントを紹介いたします。まず、その企業が成長の見込めるビジネスモデルを持っていること。次に、トップの社長にしっかりとした経営能力が備わっていること。最後に、きちんと利益を出していることです。これらを満たしていれば、きっと長期投資で大きなリターンを期待できるでしょう。

▼澤田秀雄社長の2018年の3つの注目ポイント

1.上半期の日米の景気は明るく、株式市場は好調だろう
2.注目成長分野は「ホテル」「ロボット」「エネルギー」「植物工場」「電子マネー」
3.個別の株式は「ビジネスモデル」「社長」「利益」で選別

澤田秀雄
エイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長
1951年、大阪府生まれ。80年、エイチ・アイ・エスの前身となるインターナショナルツアーズを設立。2010年、18年連続赤字だったハウステンボス社長に就任し、半年で黒字化。多角的に事業を展開し、地方の可能性を切り開いている。
(構成=田之上 信 撮影=小田駿一 写真=時事通信フォト)
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