世界的な景気後退の中、オバマ米大統領が打ち出した「グリーン・ニューディール政策」に注目が集まっている。これは1929年の世界恐慌時にルーズベルト大統領が行ったニューディール政策同様、経済危機を救済する手段となる可能性があると考えられているからだ。

「グリーン・ニューディール」とは、風力などの代替エネルギーを増加させ、政府施設の75%を対象に省エネ効率を高める投資などを実施する施策、つまりは、地球温暖化対策に基づいた景気浮揚策である。

オバマ氏は大統領選において「New Energy for America」という政策を打ち立て、クリーンエネルギーに対して今後10年で1500億ドルの投資を行うと宣言した。2年間でGDPを3.7%押し上げると試算されている今後の大型景気対策の中でも、「グリーン・ニューディール」は雇用創出の柱として位置づけられている。

もともと「グリーン・ニューディール」は英国を中心とする「グリーン・ニューディール・グループ」が昨年7月に発行したレポートに端を発する。このレポートは、金融・気候・エネルギーという「3つの危機」に対して「グリーン・ニューディール」で対応する政策提言であり、これに、昨年12月に開かれた国連気候変動枠組み条約の第14回締約国会議(COP14)において国連の潘基文国連事務総長が言及するなど、各国に影響を与えた。今後、この政策は世界的な流れをつくっていくことになりそうだ。