「話が長い」という迷惑行為は本人が自覚するしかない

世の中は、とかく表面的には「几帳面な人」を評価し、「要領のいい人」は軽視する傾向にあります。ところが、本音では「几帳面な人」をわずらわしく感じる場面も少なくないようです。

たとえば、丁寧で人当たりは良いのに、几帳面に話をしようとするばかりに、話のリズムが悪い人がいます。話がバカ丁寧すぎて無駄に長いのです。

こういう「几帳面な人」は、相手に丁寧に話すことで、話はわかりやすくなると誤解しています。しかも、自分の「ルール」と「常識」を疑うということがないので、聞き手の反応まで気を配ることがありません。結果、相手から「マイペースすぎる! 自分のことしか考えていない!」とマイナス評価を受けてしまいます。悪意がないだけに非常に残念です。

「話が長い」という迷惑行為は、大人になればなるほど、他人が注意しづらくなります。つまり、本人が自覚する以外、直りようがないのです。

「いい人」ほどバカ丁寧に長話をする

さらに迷惑なのは「難しい言葉を並べて、それに酔う人」です。一見、頭のいい人と錯覚しますが、実際はその逆です。知識欲は高く、特定の分野ではオタク的な知識を持ち合わせてもいますが、それをわかりやすく人に伝える「翻訳能力」を持っていないのです。本に書いてあることを復唱するだけで、頭はいいわけではありません。同じように、テレビなどで報道されていることを、さも自分自身が苦労して知り得た真実だとでも言うように、得意顔で話題にする人もいますが、こちらは知識の得方のレベルが低いだけに、なおさら始末が悪いものです。

頭脳明晰と思われたい。そして、相手にも快適に会話を楽しんでもらいたい。そう思うなら「難しいことであっても、短くてわかりやすい言葉で説明できる人」になりましょう。また、「本やテレビなどの受け売りではなく、自分の言葉で話せる人」になりましょう。

「難しくてイメージしづらいことをわかりやすく何かに例えて説明できる人」になれば、あなたの人間関係をつくる力は飛躍的に向上します。仕事関係、恋愛関係、友人関係におけるあなたの存在感が一変します。

「いい人」は、わかりやすく説明しようとして、バカ丁寧に長話をします。対して、一流は、短い言葉で、シンプルに、わかりやすく説明できるのです。

潮凪 洋介(しおなぎ・ようすけ)
エッセイスト・講演家
早稲田大学社会科学部卒業。主な著書に、『もう「いい人」になるのはやめなさい!』『それでも「いい人」を続けますか?』(ともにKADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『「男の色気」のつくり方』(あさ出版)などがある。
(写真=iStock.com)
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