開業のポイントは、固定費の抑制

「シニア起業の成功のポイントのひとつが、固定費の抑制です」と指摘するのが、起業コンサルタントで税理士・社会保険労務士・行政書士の中野裕哲さんだ。年間約300件の相談に乗ってきた経験だと、シニア起業は最初の1年で15%、2年目でその15%、3年目でさらにその15%が廃業する。3年以内に約4割が消える計算だ。

中野さんが挙げるスタートで成功するポイントは次の3つ。

(1)人員は基本的に自分1人
(2)シェアオフィスで十分
(3)HPやチラシなどをつくる際は業者から相見積もりを取る

要は固定費の抑制だ。「特に大企業出身の人は、最初から大風呂敷を広げたがります。見栄もあると思うのですが、非常に危険です。自営、起業を問わずに、注意しましょう」と中野さんは忠告する。

「廃業とは事業を諦めること。売り上げが伸びないなかで、毎月お金が出ていくのは精神的にきつい。固定費を抑えることで、諦めるまでの時間が延びます。そうやって長く続けられれば、成功の確率も上がります。資金繰りもしっかり管理しましょう」(中野さん)

何をビジネスにするかは、やはりキャリアを生かし、知識や人脈を最大限活用することが基本だという。これは開業資金を融資で賄う際に、金融機関も重視する。金融機関選びも大事だという。日本政策金融公庫などの政府系金融機関は無担保・無保証での融資を行っている。「公的機関の助成金や補助金制度も活用すれば、自己負担を抑えられます。なかにはHP作成で100万円を助成するものもありました」と中野さんはいう。

自営にせよ起業にせよ、きちんと段階を踏まえていけば成功へのハードルは低く、充実した第2の人生を満喫できる。ぜひ、挑戦してみては。

中野裕哲
起業コンサルタント
V-Spiritsグループ代表を務め、年間200~300件の起業相談を無料で引き受け、起業家を数多く輩出している。
 

楠木 新
『定年後』の著者。京都大学卒業後、大手生保に入社。勤務と並行して、「働く意味」をテーマに取材・執筆活動を行う。2015年に定年退職。
 

片桐実央
銀座セカンドライフ社長
学習院大学卒業後、花王、大和証券SMBC勤務を経て、2007年に定年前後での起業支援会社の銀座セカンドライフを設立。
 
(撮影=小田駿一、石橋素幸 写真=iStock.com)
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