「日本経済が潰れない限り、公的年金は潰れない」

「公的年金制度の仕組みは付加価値の分配」という表現に、「あっ、そう考えればいいのか」と納得したところに、「日本経済が潰れない限り、公的年金は潰れません」の一文……これには驚きを覚えました。

香取さんに「年金がどうなるか教えてください」と原稿を依頼した際、「30年後に破綻している可能性は10%」「今世紀中に、年金制度はなくなるかもしれない」、そんな結論もありうるのかな、と考えていたからです。すると目に入ったのは、「潰れません」という明快で大胆な主張。また、香取さんはこのように続けます。

プレジデント(2018年4月2日号)の特集は「日本人の給料、貯金、老後のお金」です。

「もうひとつ大事なことがあります。公的年金は『貯蓄』でも『金融商品』でもない。『保険』だということです。何を『保険』の対象にしているかというと、『長生きのリスク』です。寿命は誰にも分かりません。『長生きしても困らない』ためにあるのが公的年金です。だから世界中どこでも公的年金は必ず『終身給付』です。『生きている限り、いつまででも保障します』が公的年金の基本機能です。払い込んだ保険料の総額とは関係ありません。金融商品である私的年金との決定的な違いはここにあります。『保険』ですから損得論は無意味です。死んでお金は持っていけませんし、その必要もないはずです」

“年金”観が変わっていくこと請け合いの香取さんの記事ですが、話は「破綻しないから大丈夫!」と転がってはいくわけではありません。そこは冷徹に、「制度は潰れはしませんが、バラ色の給付というわけにはいきません」と警告を発するのです。

「今後日本はさらなる高齢化・少子化・人口減少・労働力人口減少が進んでいろいろ厳しい局面を迎えます。このことは公的年金についても言えることです」
「現在6600万人の労働力人口は2030年には最大5300万人にまで減少し、その後も減少していきます。他方で65歳以上の高齢者人口は2040年あたりまで増え続け、その後減少に転じます。その後は労働力人口も高齢者人口も減っていきますが、高齢世代と現役世代の人口バランスはとれていくので年金制度は安定していきます。つまり、今後20年から30年の間が『労働力人口が減るのに高齢者は増え続ける』という一番厳しい時期だということです。この『胸突き八丁』をどう乗り切るかが日本社会と経済全体の課題であり、社会保障と公的年金制度の課題でもあるわけです」

では、どうすればその正念場を乗り切れるのか?

その方法はおもにふたつあると言います。ひとつは……ここからはぜひ本誌記事「厚労省の元キャリアが明かす 年金制度が100%潰れない証拠」を読んで、ご確認ください。

(写真=iStock.com)
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