大事な教育費をデパ地下の総菜代に全投入

ここまでの話を聞いて、私はTさんご夫婦の家計には、2つの問題点があることに気づきました。ひとつは「家計管理を夫婦の共同作業にしていない」こと。もうひとつは、「目標が高すぎる」ことです。

写真=iStock.com/paylessimages

その対策として、Tさん夫婦2人で、毎週日曜日に「家計簿いらずのお金会議」を開いてもらうようにしました。その会議で、1週間分のレシートを見ながら、使ったお金を2人で確認します。この作業の狙いは、実際の出費を「目で見て」知ることで現状の問題を共有することです。

この会議を積み重ねるうちに、Tさん夫婦の関係も徐々によくなり、

「次の日曜日は“おかずの作りおき”をして、お総菜代を抑えよう」
「騒ぐだけの飲み会には行かず、僕が電車で塾のお迎えに行こう」

など、互いに実行可能な節約に積極的に取り組むようになったそうです。その結果、「デパ地下総菜」「外食」「タクシー」という悪魔の3点セットのコストが大幅に削減できました。特に食費は月3万円も減りました。お店で外食をする回数が劇的に少なくなったことと、夫婦でおかずを作り置きして冷蔵冷凍したことが効果を発揮しました。

▼月の支出額を計7万円削減し、黒字額は12万6000円に

そのほか、ママ友に刺激され「見栄」で入会してしまった長女の英語教室(教育費)や、無頓着に昔の料金プランのままにしていた大手キャリアのスマートフォン代(通信費)も無駄支出ではないかと感じ、自ら調べ、英語教室はキャンセル、スマホは格安スマホにチェンジすることにしました。クリーニングも、夫の仕事着のスーツなど以外は家で洗濯するようにしました。

そうしたコストカットを積み重ねた結果、月の支出額はトータルで7万円も削減でき、月の黒字は12万6000円になりました。もともと、貯金しようとしていた月20万円には届きませんが、目標額を月10万円とし、余ったお金は「特別支出用」として貯めていくことにしました。そうすると、毎月の蓄えだけで、1年間で約150万円、5年間で約756万円の貯蓄が作れることになります。このペースでいけば、子供の教育費がたくさんかかる10年後には1000万円以上も実現できそうです。

家計管理の一番大事なポイントは、「夫婦で家計を共有すること」です。今回、Tさんは「信頼して任せた」といいますが、任せられた妻からすれば「仕事を丸投げされた」だけ。こうした夫婦観のギャップは、多くの家庭に共通することだと感じます。

「夫婦でひとつの財布」を家計改善の切り札にするには、生活で使うお金の流れを、ふたりで把握して対策を講じる必要があります。これからもお金のことを気軽に相談しながら、お子さんたちが健やかに育つ姿を見守ってほしいと思います。