ヤフー、富士通……IT関連企業の業績を比較した

また、「有価証券報告書」の中の「従業員の状況」という項目には、平均給与や従業員の平均年齢などが記載されている。起業コンサルタント(R)の中野裕哲氏は「ここから5年間の給与の変化をチェックし、同業他社と比較してみる。海外従業員なども含む企業の場合、為替の変動を考える必要はあるが、同じぐらいの金額でも平均年齢が低い企業のほうが、より給与が高いということ」と指摘する。

最後に、会社の安定性を見るうえで最も理解しやすい指標が「自己資本比率」だ。「自己資本が多ければ、その分借り入れが少なくてすむので倒産リスクも低い。50%近くあればまず安心といえる」(佐伯氏)。

さらに詳しくチェックしたい人はキャッシュフロー(以下CF)計算書の数字に着目したい。CFで注目すべきは、本業の営業活動によって生み出した現金を表す「営業CF」。固定資産や株式の取得、売却を表す「投資CF」。最後に金融機関などからの借り入れ、返済を表す、「財務CF」の3つだ。3項目の正負の関係が企業の成長段階と関係が深いという。「成長性の高い新興企業の場合、投資が増えるため、投資CFはマイナスになりやすい。また投資により現金が不足しやすくなるため、借り入れが増え、財務CFはプラスになる」(佐伯氏)。

最後に、IT関連企業の決算数字を分析してみた。経営の安定を重視し、一生安泰が期待できそうな会社を選ぶのか、やりたい仕事ができそうな急成長の会社を選ぶのか。決算書を通じて、あなたに合った優良企業を探してみてほしい。

佐伯良隆
グロービス経営大学院教授
ハーバード大学経営大学院修士課程修了。著書に『100分でわかる! 決算書「分析」超入門2017』(朝日新聞出版)などがある。
 

中野裕哲
起業コンサルタント(R)
V-Spiritsグループ代表。税理士・社労士。著書に『トコトンやさしい 決算書の読み方』(ナツメ社)などがある。
 
(撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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