逃げ場のない、環境が人を育てる

短期で上達を目指すなら、仲間と一緒に勉強するのも効果的です。私たちは高校生を対象に、夏休みの5日間で集中的に計40時間勉強する「グローバルイングリッシュキャンプ」を提供しています。このキャンプは、英米の名門大学生のネーティブを指導役に加えたグループ制によって学習を進めていきます。

グループでやるメリットは2つあります。まず、他の人の考えが聞けること。何かのテーマについて1人ずつ発表するとき、自分と似たレベルの人の発表を聞けば、間違えやすい箇所がわかります。また他の人が発表する間に自分の考えをまとめることもできます。先生と1対1は息をつく余裕がなくて案外しんどいですから、3~5人がちょうどいい。

もう1つは、ライバル効果です。日本は恥の文化。みなさん、仲間や会社の同期の前では恥をかきたくないと考えています。だから遅れている自覚がある人は、授業が終わってからも明日の発表に向けて自習をする。グループで学ぶことでいい意味でのプレッシャーがかかるのです。

逃げ場のない環境は人を育てます。厳しい環境をいかにつくって自分を追い込み、気持ちを高めていくことができるのか。英語の上達は、そこにかかっているといっても過言ではありません。

▼仲間と学習するから伸びる
モデルは薩摩藩の「郷中教育」
ナガセが運営する大学予備校・東進ハイスクールが早くから取り入れ成果をあげているのが、薩摩藩の「郷中教育」をモデルにしたグループ制。生徒たちを数人のグループにまとめることで成績があがるという。その効果は社会人でも同じ。永瀬氏は「3人から5人のグループで学ぶのが、もっとも効果が高い」という。
永瀬昭幸(ながせ・あきゆき)
1948年、鹿児島県生まれ。ラ・サール高校、東京大学卒業。野村証券勤務を経て、76年ナガセ設立。88年ジャスダック上場。「東進ハイスクール」「四谷大塚」などの塾・予備校を展開するほか社会人教育にも進出している。
 
(構成=村上 敬 撮影=永井 浩)
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