「メルカリ」も銀行の競合になりうる

実はフリマアプリのメルカリも、銀行の競合になりうる。今まで手元にお金がなくて困ったとき、銀行系の消費者ローンを頼りにしていた人がいたとしよう。それがメルカリで所有物を売って現金が手に入れば、銀行は機会を損失するからだ。

とりわけ銀行の競合が増えているのが、決済機能の分野である。これまで決済において一番使い勝手がよいのは現金であり、ATMを数多く擁する銀行は重宝されていた。しかし現金は人の手で数えたり、厳重に保管したり、管理コストがかかる。データで管理したほうが、利用者も店も便利だ。

実は決済サービスでフィンテックが行き渡り、完成系に達している国がある。それが中国だ。偽札が流通しやすいこともあり、キャッシュレスの文化が支持され、現金を見せたら驚かれるほどである。

そのプラットフォームになっているのが、「アリペイ」である。EC大手のアリババがオークションサイトの決済をスムーズにするため立ち上げたもので、まずはスマホにアリペイのアプリを入れて、口座を開設。紐付けた銀行の口座からお金を移動しておき、状況に応じて決済する。日本でいえばスイカやパスモに近いかもしれない。

スマホをかざすだけで日常的な買い物、交通費、ガスや電気など、広範囲の決済ができる。さらに中国に数多くある高金利の金融商品もすぐ購入できるので、資産運用も可能。ひとつのプラットフォームを使って多様な経済活動を滞りなくできる。LINEのような通信アプリ・ウィーチャットの決済機能、ウィーチャットペイも拡大しており、中国ではどちらかを持っていないかぎり、暮らしていけないだろう。

これまで銀行は、決済機能ならその機能だけを担っていれば、ユーザーは喜んで利用してくれた。それが今、アマゾンやアリババのように、決済機能+サービスを提供する企業が次々出現している。比較したユーザーがそちらを選ぶのは自然な流れである。

フィンテックの台頭によって、銀行の魅力がどんどんそがれている。その結果、銀行の競合相手は銀行ではなく、他業種へと変わりつつあるのだ。