「アマゾン・ゴー」と違って相手を選ばない

2018年1月にアメリカのアマゾン・ドット・コムが米シアトルに無人のコンビニ「Amazon GO(アマゾン・ゴー)」を開業して話題になった。それと比較して、「シンプルさが違う」と蒲原社長は強調する。

「アマゾン・ゴーではセンサー類をたくさん使っているらしいですが、ワンダーレジはカウンターにこの装置を置くだけでいい。しかも、アマゾンでは会員が対象ですが、ワンダーレジは相手を選びません。ICカードのような電子マネーだけでなく、現金でもいいし、クレジットカード、デビットカードにも対応します」

コンビニだけでなく、社内や工場内の従業員向け購買店でもワンダーレジを1台置いておけば、人を貼り付ける必要がなくなるし、24時間利用できる。

また、ワンダーレジには年齢・性別推定機能も用意されている。AIが利用客の画像から10代幅の年齢と性別を認識し、POSに情報を転送すれば、マーケティングに利用できる。

スーパーワンダーレジでは、さらに詳しく顧客行動が把握できるので、商品棚による購買率の変化、どんな商品をセットで買うかなども分かる。何も買わずに帰る客の行動も分析できる。

こうした利用方法はむしろコンビニやスーパーの方がアイデアを持っているだろう。現在、40社ほどと商談が進んでおり、今年4月頃には実際に店舗でお目にかかれるかもしれない。

蒲原氏は2011年からワンダーレジのプロジェクトをスタートさせ、電気通信大学の柳井啓司教授の協力を得て共同開発を進めてきた。使われているAIはディープラーニング技術を応用して独自開発したもので、「SP(サインポスト)AI」と命名された。

SPAIには商品を認識するためのさまざまな工夫が凝らされており、その文字認識機能を活用すれば、レジ以外のサービスにも応用も可能だ。手書きの漢字は難しいが、活字は認識できるので、書店ならば書籍名を自動的に確認、登録できる。現在、調剤薬局や図書館などからも問い合わせがあるという。

また、手書きでも数字については、かなりの程度認識できるので、金融機関や行政機関では業務の効率化にも利用できると期待されている。

「人手による認識作業は世の中にかなりあり、それが生産性の限界にもなっています。これをSPAIとカメラで代用することができれば、国力の向上にもつながると思います。個人的には農業や魚の養殖にも活用できると思っています」

AI研究では日本は諸外国に後れを取っていると言われている中、日本発のワンダーレジとSPAIには一大旋風を巻き起こしてほしいものだ。