親の資産を取り崩しながら何歳まで生活できるか

やがて無職の期間が長引いてしまい、ますます就職が難しくなってしまいました。あわてて、条件を広げてみたものの、不採用が続いてしまいました。そのうちに、就職活動にも疲れ果て、自室にひきこもることが多くなったそうです。

就職難の世の中でも、父親は長男が正社員として採用され一人前の給料をもらい、結婚して家庭を持つ、という理想に固執しました。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/IR_Stone)

一度、知り合いのツテで正規雇用として採用されたこともあるのですが、無職の生活が長く続いたためか、残業もこなさなければならない正社員はハードルが高かったようです。3カ月も持たずに退職してしまいました。それからは、一切仕事をせず、38歳の現在まで無職が続いています。

「なんとか立ち直ってくれないかと思い続けながら、今まで来てしまいましたが、もうこの年では難しいですね」

どうやら、父親が考える“立ち直り”とは、どこかの会社に正社員として採用され、一人前の給料をもらうことのようでした。それは、父親が言うとおり、年齢が高くなるほど難しくなります。40歳前後から正規採用され、ひきこもりから“立ち直った”というケースもありますが、むしろ例外と言えるでしょう。

私は、長男が生涯働かないことを前提に、親が残した資産を取り崩しながら生活していけるかを分析することにしました。

▼親の資産2300万円、年金収入320万円、今は毎年黒字だが……

<家族構成>
父親 68歳(年金生活、元会社員)
母親 65歳(年金生活、主婦)
本人 38歳(無職)

<資産状況>
金融資産 2300万円(定期預金1500万円、普通預金500万円、投資信託300万円)
不動産 自宅

<収入>
父親の年金収入:230万円
母親の年金収入:90万円

<支出>
生活費:年額280万円程度

両親とも年金生活者でその収入は合わせて計320万円。また、定期預金1500万円、普通預金500万円など金融資産は計2300万円あり、住宅ローンの支払いもありません(自宅を所有)。生活費は親子3人で年280万円程度。毎年40万円ほどの黒字になっていますが、試算すると、次のような結果になりました。