そもそも社長と社員では、とるべき責任が違います。

社員の仕事は、社長が決めたことを実行することです。会社の方針を実行し、実績や成果が得られれば、それは社員のお手柄。ですから、「実施責任」は社員にあります。

けれど、「利益責任」を取れるのは社長だけ。会社は、社長ひとりで「99%決まる」のです。

最終的な責任は社長しか取ることができない、このことを自覚できない社長は「残念な社長」と呼ばざるを得ません。

ポイント2:会社は社長が決定したようにしかならないことを知らない

自社の経営が思わしくないとき、残念な社長は、原因を外部環境に求めます。「市場に活気がない」「人材が不足している」「消費が冷え込んでいる」「商品に魅力がない」……と言い訳をするのです。

ですが、それは間違いです。会社が赤字になるのは、外部環境のせいではありません。会社が赤字になるのは、社長が「赤字でもいい」と決定したからです。会社が潰れるのも、社長が「倒産やむなし」と決定したからです。

「そんな決定をする社長などいるはずがない」と思われるかもしれませんが、経営環境が厳しいことがわかっていながら、有効な対策を取らなかったということは、「赤字でもいい」「倒産していい」と決定したのと同じです。

人間心理を無視した経営はダメ

会社は、社長が決定したようにしかなりません。そして、経営計画書は、社長の決定の集積です。

いくつかの選択肢の中から、「やること」と「やらないこと」をはっきりさせ、「やる」となったら徹底的に、勝つまでやる。やらないと決めたことはクヨクヨ振り返らない。

それが、先行き不透明な現代社会で小さな会社のかじ取りをしていく秘訣なのです。

私は、「人間心理を無視して経営をしてはいけない」と考えています。社員は、「面倒なことはやらない。都合の悪いことはやらない」のがまともです。だとすれば、「面倒なことでも、都合の悪いことでも、やらざるを得ないルール」を決定するのが社長の務めです。