「仮想通貨は金(ゴールド)に似ている」

【田原】値上がりといいますが、仮想通貨はどうして値動きするのかよくわからない。株は企業の業績にある程度連動するし、法定通貨も国の経済状況と関係がある。仮想通貨は?

【加納】仮想通貨にはファンダメンタルズがなく、価値は需要と供給で決まります。だから悪いニュースが出てきてみんなが不安になると暴落する。たとえば先ほど出た国による規制とか、取引所がハッキングされたというニュースが出ると、一気に下げることが多いですね。もっとも、ハッキングは事業者のセキュリティが破られただけ。ブロックチェーンのセキュリティが破られたわけではないので、暴落するのは不思議ですが……。

▼目標は国内利用者、1000万人

【田原】需要と供給だけで決まるということが、僕みたいな古い人間にはピンとこない。

【加納】仮想通貨は金(ゴールド)に似ているといわれます。金は国が保証しているわけではないし、何かの業績に連動しているわけでもない。人々の信用によって価値が動きます。それと同じだと思えば、イメージしやすいかと。

【田原】なるほど。ただ、専門家も意見は分かれています。13年に当時FRB議長だったベン・バーナンキは「可能性がある」といいましたが、最近ではJPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOが「詐欺だ」と発言した。加納さん自身はどう思いますか。

【加納】新しいものが出てきたときに混乱が起きるのは仕方がないです。1970年代、各国の法定通貨に金の兌換(だかん)性がなくなったときも、「不兌換紙幣に価値があるのか」という議論が起きました。いまの仮想通貨への反応と同じです。でも、みんなが不兌換紙幣を使っているという事実を持って、いまは信用を獲得しています。ビットコインも、徐々にそのように変わっていけばいいなと。

【田原】いま実際に日本でビットコインを持っている人はどれくらい?

【加納】100万~200万ユーザーで、まだ少ないです。目標は1000万。人口の10%の人が使うようになると、決済手段としてそれなりに認知されたといえます。5年くらいかけてそこまでいけたら御の字です。

【田原】ビットフライヤーの従業員や売り上げはどれくらいですか?

【加納】従業員は約100人。売り上げは非公開です。取引高は公表していて、月間7兆円に達しました。その一部から手数料をいただいていて、それがわが社の売り上げになります。

【田原】売り上げを増やすにはどうすればいいですか。

【加納】方向性は2つあります。まずは国際展開。アメリカでライセンスを取れたので、向こうでもサービスを展開します。さらにヨーロッパでもやりたい。日本を含めて3つの地域がつながると、国際送金のビジネスができる。すでにアメリカはサンフランシスコ、ヨーロッパはルクセンブルクにオフィスを開設しています。