中西経団連と安倍一強政権との関係

しかし、「中西経団連」には注文をつける向きもある。政治との適切な距離をとれるか、という課題があるからだ。日立の事業は、6年目を迎えた「アベノミクス」の政策と重なる要素が多く、政策提言が利益誘導に導きかねない。さらに中西氏は、財界人有志が安倍首相を囲む「さくら会」のメンバーだ。首相が議長を務める政府の経済財政諮問会議の民間議員も、会長就任後は榊原会長の後釜に就くのが当然の成り行きだ。

また1月下旬にスイスのダボスで開催された「ダボス会議」に出席した中西氏は、米メディアのインタビューで、日本政府が総事業費170億ドルの大半を支援するインドの高速鉄道整備計画について、「日立の南アジア事業で最も重要なプロジェクトだ」と語った。こうした“国策”とのつながりはほかにもある。日立が英国で計画する原子力発電所建設については、日英両政府が官民で総額3兆円を投融資する枠組みで合意したとされている。日立と安倍政権のつながりは極めて強い。

現在の榊原会長は安倍政権との距離感をめぐり、その“忠犬”ぶりに財界内にも批判があった。1月16日に経団連が発表した春闘に臨む指針には、安倍首相が要請した3%の賃上げを「社会的期待」と明記し、すんなり受け入れたことは、その最たる象徴だ。

中西氏も政権にべったり擦り寄れば、財政再建をはじめとする経団連の主張について「もの言えぬ」立場に追い込まれかねず、その存在意義が疑われてしまう。中西氏は「立場は政権と異なり意見は違う。政権にははっきりもの申す」と、安倍政権とは是々非々で向き合う姿勢を示すが、本当に一定の距離を保ち、政策提言機機能を発揮できるかどうか。その手腕が注目されている。

(写真=アフロ)
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