やる気があると感じられる語彙を使う

昨今、企業で仕事をする人たち、特に部下を持つ人たちと話をすると、異口同音に言うのが「近頃の若者はやる気がない」ということ。ですが、日々大学生と接している私は、少し違った見方をしています。

授業の最後に次週までの課題を出しても、「えー」という否定的な反応がないかわりに、「はい!」という積極的な反応もない。「ちゃんとわかっているのだろうか」とこちらが不安になるほどです。ですが、いざ翌週になると、皆課題をこなしてきているのです。皆の前で発表するとなれば、自分たちなりに取り組んだ成果をしっかりプレゼンできます。

つまり、「やる気がない」のでも「実力がない」のでもない。ただ、「元気がない」だけなのです。しかし、年齢の高い人たちは、「はい! がんばります!」と分かりやすく元気のある人を「やる気がある」とみなす傾向があり、わかりやすく食いついてくれる若者を「見込みがある」と評価する傾向にあります。

つまり、目上の人から意見やアドバイスが欲しいときなどは、自分のやる気を見せる言葉をうまく使うといいのです。

「ご意見ください」

「後学のためにぜひご指導ください」
「よろしければ、ご教示いただけますでしょうか」
「何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします」

「後学」は、「将来自分のためになる知識や学問」のこと。「後学のために」と言えば、「今いただくアドバイスは、必ずや後々の仕事に生かします!」という前向きなニュアンスが伝わります。

「ご教示」は「教え示すこと」。「教授」は、学問などを継続的に教え授けることで、「教示」よりは時間をかけるイメージです。

「ご鞭撻」は「努力をおこたらないように強く励ますこと、いましめること」という意味です。

ただ単に「ご意見ください」と言うのでは、相手の負担を強いるだけになってしまいます。そこに、「自分はこんなにやる気がありますので、ぜひともアドバイスをください」と伝えることで、上司は意気に感じるというものです。

『宮本武蔵』などで知られる作家の吉川英治は、「我以外皆我師(自分以外は皆自分の師である)」という言葉を残しています。アドバイスやコメントをもらうというのではなく、教えをいただくという気持ちで頼むことが肝要です。