必要な生活費をもとにした「売上目標」

さきほど、最低限必要なお金についてお話ししましたが、今度は、最低限必要な1年間の「売上目標」を考えてみてください。

フリーランスとしての毎月の売上目標の公式は、「余裕のある生活を送るために必要な生活費」+「貯金したい金額」です。「月々の売上目標×12カ月」で計算すれば、1年間の売上目標がわかります。

「400万円稼げば、年収400万円の会社員と同じ生活ができるはず。なぜ会社員よりも稼がないといけないの?」と思った人がいるかもしれません。しかし、フリーランスには社会保障がないのです。

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会社員は厚生年金に加入している時点で、自動的に国民年金(基礎年金)にも加入することになります。すると、将来的に年金が支払われるときは、「国民年金」と「厚生年金」の2つの年金を受け取ることができます。しかも、そのために必要な費用(社会保険料)は、会社が半額負担してくれる仕組みになっています。

ところが、フリーランスはその特典を持っていません。だから、生活レベルを一緒にしたい会社員の年収に、プラス200万円くらい上乗せして稼がないと、ゆとりある生活を送ることができないのです(もちろん、上乗せした分はきちんと貯蓄してくださいね)。

売上目標を頭において仕事をする

たとえば、年収300万円の会社員と、フリーランスの人が同じレベルの生活をめざすとします。そのとき、フリーランスとしての最低限必要な売上は、生活レベルを一緒にしたい会社員の年収にプラス200万円くらい上乗せして計算するので、粗利益500万円程度です。粗利益(売上総利益)とは、売上から仕入れを除いた金額のことで、計算式で表せば「売上高-原価」となります。

売上目標が頭のなかにあれば、「仕事で何をしなければいけないのか?」もわかりやすくなります。たくさん稼ぎたいのに仕事がゼロだったら、安い仕事でも引き受けないと生活できません。または、仕事が忙しくても売上目標に届かなかったら、薄利多売の状態なので、商品やサービスの値づけを見直さないといけません。

同じ取引先ばかりで売上が横ばいのときも、かなり危険です。新しいお客さまの仕事がなくて、既存のお客さまの仕事に依存している状態なので、時間の使い方を見直す必要があります。

ゆとりのある生活を送りながら、安定して稼ぎ続けるためにも、最低限必要な売上目標を考えてみてください。