朝日は「紫煙で迎える東京五輪」と皮肉る

朝日社説は「何をもって『分煙』と判断するかも経営者の判断に委ねられる」とも指摘し、「隣席で吸っていても分煙、という状況もありうる。分煙が不徹底な場合は、20歳未満の客やスタッフが店に立ち入るのを禁じるというが、家族連れの来訪を店側が進んで断るなど、現実にありうるだろうか」と追及する。

さらに「日本も加盟する『たばこ規制枠組み条約』の指針が求めるのは、飲食店をふくむ公共施設での『屋内全面禁煙』であり、喫煙室方式を認めていない。漏れ出る煙で、受動喫煙はなくならないからだ」といかに日本の認識が海外とかけ離れているかを解説する。

最後には次のように皮肉る。

「最近、五輪を開いた中国、カナダ、英国、ロシア、ブラジルはいずれも公共施設での屋内全面禁煙を法制化している。このままでは、東京五輪・パラリンピックで来日する人々を、紫煙で迎えることになりかねない」

「紫煙で迎える」との皮肉り方は朝日らしい嫌みでもある。

飲食業界のために動く一部の自民党議員

毎日新聞(2月1日付)の社説もその見出しで「これでは健康増進が泣く」と巧みに皮肉る。

毎日社説は「2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、国際オリンピック委員会と世界保健機関(WHO)から『たばこのない五輪』を日本政府は求められている」と指摘し、「通常国会への法案提出を目指すが、本来の厳しい対策へと立ち戻るべきだ」と主張する。

沙鴎一歩も昨年3月の「厳しい対策」に戻るべきだと思う。

そもそも国民の健康を守るのが厚労省の仕事である。それを忘れ、飲食業界とつながった一部の自民党議員の利権のために動くのは、止めるべきである。

毎日は「日本の対策の甘さが際立つ」とも指摘

毎日社説は新たに問題になっている加熱式たばこについてこう書く。

「専用の喫煙室を設置すれば食事しながらの喫煙も可能になる。『屋内禁煙』の原則は否定されたも同然だ」

加熱式たばこは煙が出ないが、発する粒子には有害な物質が多く含まれるという。その加熱式たばこを食事しながら吸うというのだから、いっしょに食事する人はたまったものではない。

東京都の対応については「独自の厳しい受動喫煙防止条例を目指していた東京都も『国と整合性を図る必要がある』と2月都議会への条例案提出を見送るという」と解説した後、こう主張する。

「最近の五輪開催国や都市はいずれも法律や条例で飲食店を全面禁煙としており、日本の対策の甘さは際立っている。東京都こそしっかり取り組むべきではないのか」

いまこそ、単刀直入にものを言う小池百合子都知事の出番だと思うのだが、どうだろうか。