中学入試はwebによる「当日発表」が主流

採点現場となった教室だけに照明がともり、教員たちが答案用紙と格闘していた。

中学受験のもうひとつのトレンドは「当日発表」だ。合格発表の時間がどんどん早まっており、いまや入試当日に発表をおこなう学校が大勢を占めている。時間が早まった背景にはウェブサイトの活用がある。いまの中学入試の合格発表の多くはウェブサイト上でおこなわれるのだ。

指定された時間に学校のサイトへ行くと、そこに合格者番号が一覧化されたPDFが公開されていたり、受験番号とパスワードを打ち込むと個人の合否結果がわかるようになっていたりする。受験生は自宅のパソコンや手持ちのスマホで簡単に結果を確認できる。寒空の下、掲示板の前で合格発表の掲示がされるのをじっと待つ……という光景が見られる学校はずいぶん少なくなった。

▼「午後受験」も「当日発表」も受験生への思いやりがあってこそ

「午後受験」と「当日発表」は、学校側がより多くの受験生を集めるために生まれたものだといえる。従来であれば、「1日1校」しか受験できなかったところ、午後入試ができたことで、「1日2校」の受験が可能になり、受験生としてはよりレベルの幅を広げて受験パターンを組むことができるようになった。たとえば、午前は難関の「挑戦校」を選ぶ一方で、午後は合格圏内の「安全校」を受験する、といった調整ができる。

さらに、「当日発表」がそこにプラスされると、その日の結果を受けて翌日の受験校を考えることも可能だ。たとえば、Aという学校に合格していれば、翌日は「挑戦校」のB中学校を受験し、不合格ならば「安全校」のC中学校を選択する。そんな「W受験」が構築できる。

「午後受験」と「当日発表」を上手に活用することで、わが子の将来の選択肢の幅をぐんと広げることができるのだ。もちろん、受験料などの負担は増すが、わが子の数年間の努力をなんとか実らせたいと思う保護者にとっては必要経費のうちに入るだろう。

そうした中学受験の事情は把握していたが、驚いたのは「午後入試」でありながら「当日発表」をおこなう学校も登場したことだ。その代表的な学校が、冒頭で触れた東京都市大学等々力中学校である。