給与が高くなるとエンゲル係数とエンジェル係数が高騰

【収入が微増した人がやりがちなNG消費 その4】
家計の「聖域」がある

A子さんが家計の中で、「これだけは譲れない」と考えている支出項目が、子ども関連費用だ。第一子で女の子ということもあって、かわいい洋服やおもちゃなどを見つけると、つい買ってしまう。もう少し大きくなったら、習い事も始めるつもりだ。

子どもにかかるお金は、家計の中で「聖域」となりがちな費目である。

家計支出に占める子育てにかかる費用の割合について「エンジェル係数」という呼び方がある。食費の割合を示す「エンゲル係数」になぞらえて、1989年以降、野村証券が豊かさの指標として設定した指標である。ここ10年ほど調査が行われていないようだが、少子化・晩婚化・晩産化で、子どもにかける費用は高止まりしている印象がある。

家計に余裕があるご家庭であれば、子育てや教育にお金をかけることもできるだろう。しかし、家計に余裕がなくても、「子どもにはお金をかけてやりたい」という家庭は少なくない。筆者も思春期の娘を持つ親として、そのような親心はわかる。だが、家計を見直したいなら、「聖域」を作ってはいけない。

【収入が微増した人がやりがちなNG消費 その5】
収入額に達するまで支出額を膨張させる

前述した(その1)から(その4)までは、A子さんの現状分析だが、最も危険なのが、給与が今後も同じペースで増えることを前提に、資金計画を立てることだ。とりわけ、クルマや住宅ローンといった大きな買い物をする際は要注意である。

給与がアップしたといっても、先行きは不透明。冒頭の厚生労働省の調査では、勤労者の実質賃金はプラスの傾向にあるというが、右肩下がりを示しているデータもある。下図は、DODAエージェントサービスに登録している29万人のデータを元に、正社員として就業している20~59歳までのビジネスパーソンの平均年収の経年変化を表したものである。ここ10年の平均年収の変化を見ると(DODA「平均年収ランキング2016・2017」)、2016年度は3年ぶりにプラスに転じて442万円だったものの、2017年度は418万円とマイナスになっている(図表参照)。

それ以外にも、病気やケガ、リストラなど、人生何が起きるかわからない。資金計画を立てる際には、楽観的な見通しは命取りになりかねないのである。

しかし、A子さんのご家庭に限らず、収入が増えると支出も増えるというのは、よくあることだ。イギリスの歴史学者のシリル・ノースコート・パーキンソンという人が提唱した法則のひとつに「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というものがある。要するに、収入が増えると、それと同じくらい支出の額も増えるということだ。

老後も視野に入れ、資産を増やしたいのであれば、収入が増えた分は、「最初からなかったもの」として、その分を貯蓄や投資に回すようにすべし、である。賢い消費者は、元本は減らさずに、投資して得られた運用益や配当で豊かな生活を送っているのだ。