そんな中、トラブル対応をしているチームの様子を観察していると、「慌ててしまう人」と「的確に行動できる人」の差が、明らかに見てとれます。

混乱した状況について「複雑なまま考えている」人は、目の前のトラブルに慌ててしまい、「あれをしなきゃ、これをしなきゃ」と思いつきで動き、対応に余計な時間がかかってしまいます。ときには、さらなる障害を引き起こしてしまうこともあります。

こういう人は、「木部さん、トラブルです!」と報告が迅速なわりに、「で、問題は何なの?」と聞くと、整理して答えることができません。

一方で「全体を俯瞰し、問題をシンプルにしてから考えることができる人」は、5分でも10分でも立ち止まって、ホワイトボードに全体像、原因、やること、担当者などを冷静に書き出し、情報を整理してから問題に取り掛かります。

例えばシステム障害のトラブル対応であれば、図のように、やるべきタスクと時間と担当を先に洗い出し、2軸の図に整理してから動き始めます。

立ち止まったほうが、ゴールに到着するのは早い

ちょっとしたことですが、慌てずにこういう行動ができる人は、よりスムーズに、しかも最短の時間でトラブルを解決できているようです。

なぜなら、動き出す前に情報をシンプルに整理し、可視化することで、結果的にやるべき作業の総量が激減しているからです。動く前に作業手順が効率的に考えられているので、ムダな動きは生まれません。

わずかな時間を惜しんで見切り発車をするよりも、5分、10分くらい立ち止まったほうが最短ルートを見つけられるので、より早くゴールにたどり着けるのです。

実際、私のチームに突発的なトラブルが発生したときには、プロジェクトのメンバーに「走るな!」とか「手を止めて、まずはしっかり考えろ!」と、止まることを指示することがよくあります。

無我夢中で走って稼げる数秒よりも、まずはしっかり考えてから動くほうが結果的に早いということを、経験上、知っているからです。