保育園に入ってから時短などを利用せず、出産前と同じように残業までこなす働き方をする場合は二次保育も必要になる。私も自分の息子が小さいときは、自治体の「ファミリーサポート」を活用していた。1時間600~800円と価格はお手頃だ。ただし、単発だといつも空きがあるとは限らない。悩ましいのが病気のとき。自治体指定の病児保育施設が近くになければ、多少高くついてもベビーシッターに頼む家庭も少なくない。

子供がよく熱を出すため、保育園とベビーシッターの二重保育にしている知人女性を例に挙げよう。利用回数は月4日で3時間程度だが、発熱の際には、1日フルに依頼することも。毎月、保育園代の約5万5000円に加えて、平均約3万円のシッター代が発生する。シッター割引券をその都度使っても、毎月の出費は7万6500円に上る。さらに、週1回ほどシルバー人材センターで掃除など3時間の家事援助を頼んでいるため、1ヵ月約1万2000円が上乗せされ、合計8万8500円に。年間で約100万円が家事育児の外注費に消える計算だ。が、妻が仕事を辞めて子育てに専念したほうが得というわけではない。大企業に勤める大卒女性の生涯賃金(事務・技術労働者、モデル所定内賃金(※中央労働委員会「平成22年賃金事情調査」より))を試算すると、退職金を除いても約1億9650万円。仮に28歳で退職して家庭に入ったとすると、その後に稼げるはずの約1億8000万円を棒に振ってしまうことになるのだ。

家事や育児の外注費用は、いうなれば妻の「キャリア温存コスト」。子育て中ならなおさら、家事のストレスから解放され、子供との時間も増やせるし、夫との関係も良好になるだろう。低成長・マイナス成長期は、共働き家庭が主流になることを考えると、上手に家事サービスを利用することは、贅沢などではなく、「必需品」と言える時代なのではないだろうか。

(上島寿子=構成)