「勝利至上主義の催眠術にかかっていた」

入試をやるなら桜宮高校には予算はびた一文出さないという前代未聞の宣言、そしてイザというときには出直し市長選挙をやってやろうという僕の気迫を教育委員会は感じ取ってくれたのか、最後は僕の方針通りに入試は中止するという教育委員会決定になった。「教育委員会は首長から独立して決定しなければならないのに、橋下の軍門に成り下がった」などの批判も噴出した。それでも、とにもかくにも桜宮高校はスポーツに特化した高校という看板をいったん返上した。僕は受験生に対して、スポーツの看板を下ろした桜宮高校が嫌なら他の高校を受験して欲しいと記者会見で言い放った。

入試を中止した後、桜宮高校の抜本改革にすぐに取り組んだ。僕は、校長、教頭の経営陣はもちろんのこと、同校の現場教員を全員入れ替えると叫んだ。現実的な人員確保の問題から全員交替とはいかなかったけど、3分の1ほどは教員を入れ替えた。そして外部からバレーボール全日本女子代表監督を務められた柳本晶一さんを同校の改革担当顧問として招き、改革リーダーになってもらい実権を渡した。そして柳本さんを支える事務方体制も整えた。

それから1年、徹底した改革によって桜宮高校は甦った。それまでの勝利至上主義からプレーヤーである生徒を第一に考えるプレーヤーファーストの理念を確立し、学校組織全体にその徹底が図られた。柳本さんも一時は勝利至上主義で鉄拳制裁をやっていた人だからこそ、そのおかしさを真に悟り、プレーヤーファーストという理念に行きつき、それを実践した実績がある。本でお勉強して頭で考えた抽象論じゃないから迫力がある。だから組織のメンバーもついてくる。

そこでスポーツ科の入試を再開したんだ。

僕を応援してくれていた人の子供が桜宮高校に通っていた。僕がこんな騒動を起こしたもんだから、その人は僕に、自分の子供が桜宮高校に通っていることや桜宮高校のこの問題について話せなかったらしい。1年後に入試を再開してから、その人が僕に言うには「橋下さんが入試を中止した直後は妻や子供は橋下さんに対して、おかしい! と言っていたけど、1年経った今、妻や子供は、やっぱり橋下さんが正しかった、学校が生まれ変わった、生徒や保護者の意識が変わった、かつては勝利至上主義の催眠術にかかっていたみたいだ、と言っている」と話してくれた。無茶苦茶うれしかったね。

その後いたるところで、桜宮高校の関係者、特に実際に通っている生徒、通っていた生徒、その保護者の多くから「学校が生まれ変わった。ありがとうございます」と言われた。そして多くの人が口をそろえて言うのは、橋下市長が入試を中止したときには殺してやろうかと思った! だって(笑)。大阪の人たちは激しいね(笑)

(略)

(ここまでリードを除き約2700字、メルマガ全文は約1万1600字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.88(1月23日配信)を一部抜粋し簡略にまとめ直したものです。もっと読みたい方は、メールマガジンで! 今号は《待ったなし大相撲改革(3)】「なんちゃって」では逆効果! これが第三者を使った本当の改革のやり方だ》特集です!!