Q.過労死する前に、親が気づくべきこと、やるべきことは?

労働時間の問題は、当事者よりも親が「子どもが働きすぎで心配だ」と相談に訪れることが圧倒的に多いです。

厚生労働省は、過重な仕事(長時間労働など)が原因で脳・心臓疾患が発症するリスクが高まると認めている。(PIXTA=写真)

電通の事件でもそうでしたが、長時間労働が行われている職場では、多くの場合パワハラも横行しています。月の残業が80時間を超えている、ほとんど寝ずに出勤している、20日以上も休みがない……。普通の感覚なら辞めるはずですが、本人は仕事を終わらせることが当然と思い込んでいるので続けてしまう。いわばマインドコントロールされた状態といえ、うつ病かそれに近い精神状態に追い込まれて、本人は正常な判断ができなくなってしまうのです。

これはまずいと、親が動き出そうとしたときに、「そんなことをしたらクビになる。やめてくれ」と子どもが親を止めてしまうことが多いのも現実です。そうして問題が長引き、最悪の場合、過労死という結末を迎えてしまうわけです。

最悪のケースを防ぐには、やはり家族が強制的に介入するしかありません。「苦労して会社に入ったのに」という思いはわかりますが、命より大事なものはありません。

親が介入するときに、会社に直接訴える親御さんもいますが、その多くの場合は警戒されて、次の一手にマイナスの影響を与えてしまいます。