社内の問題児との格闘

14年からは、I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)を統括する役目も加わる。外国人やLGBT、障がい者も含めたダイバーシティだが、女性活用が最大のテーマだった。外資系でも働いているのは日本人。昔ながらの男女の役割意識が残っていた。

(上)2014年 44歳。I&D統括 執行役員に就任(下)2016年 46歳。アジアパシフィック地域証券業界責任者に就任

「女性はこういう仕事がいいんじゃないかとあてがわれる仕事が、男性の補佐的役割のことが多く、評価が低くなりがちなのです」

さらに評価者の大半が男性だから、女性の評価が下振れ傾向に。「どうして女性の評価が低いの?」と聞くと、ある男性評価者からは「女性は体力がなくて男ほど働けないから評価できない」と言われたことも。また、男性の「優しさという名のずるい作戦」にてこずったこともある。「女性がそういう仕事をやるのは大変でしょ。お子さんもいるのに」と。

そんなことがあるたび、堀江さんは「本人の希望をちゃんと聞いてください」と言い続けた。

「あまりに頑固な人は問題児リストにのせました(笑)。逆に、女性活用が進んでいる組織の長はめちゃめちゃ褒めましたけど」

1人で頑張ってもラチが明かないと思ったときは、あらためて多様性推進のメッセージを社長に発信してもらう、グローバルから“外圧”をかけてもらうといったことも。さまざまな取り組みの結果、一昨年あたりから評価・昇進が男女平等になってきた。

今までのキャリアを振り返りながら、クライアントにも上司にも「恵まれていたな」と思う。

「日本は女性活用が遅れていたから、グローバルの金融担当トップが気にかけてくれたり、日本の上司が向いている仕事を振ってくれたり。幸運でしたね」