1泊程度の旅行でもキャリーバッグをゴロゴロと転がす人がいる。いったい何を持ち歩いているのか。その荷物は本当に必要なのか。多すぎる荷物は、飛行機の出発遅延の原因にもなる。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「荷物を減らせば、旅行はラクになるし、周囲にも迷惑をかけずにすむ」と指摘する――。

カンボジアの空港で経験した「初めての出来事」

これまで飛行機には何度も乗ってきたが、今年1月3日、カンボジアのシェムリアップ空港で初めての体験をした。「荷物のオーバーロード(荷物の積み過ぎ)で出発できない」という出来事である。

19時20分発のプノンペン行きの飛行機に乗ろうとしたのだが、「国内線」なので出発の1時間前に着きゃいいだろうと、18時20分ごろ空港に到着した。このアンコール遺跡にほど近い空港はかなり小さく、建物正面の入り口をくぐるとすぐ目の前にチェックインカウンターがある。

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/izusek)

着いたところでトイレに行きたくなり、用を足して戻るまで、約1分数十秒。その間に観光バス2台が到着していた。そして、ツアー観光客の集団が一斉に空港内になだれ込んできた。皆、とんでもない量の荷物を持っている。この瞬間「あぁ……。小便を我慢すればよかった……」と激しく悔やんだ。同行者も用を足しに行っており、戻ってきたころには、ツアー客たちがカウンターに長い列をつくっていた。

荷物の多すぎるツアー客に辟易

設備の整った空港であれば、預ける荷物がない場合、自動チェックイン機で発券手続きを済ませることができ、カウンターに出向く必要はない。しかしシェムリアップ空港にはそうした設備はなく、預ける荷物があろうとなかろうと、カウンターでの発券手続きが必要だった。

近年、カンボジアを訪れる観光客の荷物量が増大しているのかどうかは判然としないが、そのときのツアー客は、とにかく荷物の量が多かった。そのためカウンターでは職員と客がたびたびモメているようだった。おそらく「規定の荷物量を超えている。超過手荷物料金を払え」「どうしてそんなカネがかかるのか。払わない」といったやりとりが行われていたのだろう。出発時刻が近付いても、列はなかなか進まない。