「介護休暇」は年5日まで休める

会社員は原則、誰でも取得できる。パートや派遣社員、契約社員も同一の事業主に引き続き1年以上雇用されているなどの条件を満たせば介護休業を取得できるなど、対象は意外と幅広い。勤務先から給与が支払われない場合は、介護休業給付金として賃金月額の67%が雇用保険から支給される(休業前2年間のうち、雇用保険に12カ月以上加入などの要件がある)。

介護休業のほかに「介護休暇」も改正。これは年5日、1日単位で取れるというものだったが、半日単位でも取得できるようになった。1日休まなくてもいい雑事など、日常的なニーズを反映したといえる。原則的には無給であり、有給休暇があれば使ったほうが有利だといえるが、有休を使い切っていても咎められることなく年5日まで休める制度があることは、覚えておきたい。

そのほか、介護をしている従業員に対して企業は、介護休業とは別に、短時間勤務、フレックスタイム、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、介護サービス費用の助成などいずれかの対策を講じることが義務付けられたり、従業員は介護が終了するまで、早出や残業、休日出勤などの所定外労働の免除が認められたりと、新しい制度も誕生している。

介護や育児で慌てて離職を考えなくてもいいよう、就業規則を確認するとともに、厚生労働省のホームページで自ら情報に触れてほしい。

織田純代
社会保険労務士

織田労務コンサルティング事務所代表。税理士事務所、企業人事部勤務などを経て、社会保険労務士事務所を設立。共著に『就業規則の見直しと運用の実務』(日本法令)など。

 
(構成=高橋晴美 写真=PIXTA)
【関連記事】
「介護離職」が2018年8月から急増するワケ
なぜ"10年連続の育休社員"が許されたのか
介護離職からの復職を阻むこれだけの"壁"
老親に介護を頼まれた娘がキレる瞬間
なぜ日本だけが「介護と仕事」で悩むのか