週刊文春も「貴乃花寄り」の記事を繰り返す

だが、不思議なことに、これほどのスキャンダルを、新聞、テレビが後追いしたという話を聞かない。

テレビのワイドショーは、膨大な時間を相撲騒動に費やしているが、そのほとんどが愚にもつかない話ばかりである。

不倫や貴乃花騒動ばかりにうつつを抜かし、国民が知っておくべきニュースが報じられていないことを恥ずべきであろう。

週刊誌も例外ではない。たとえば文春は、「貴乃花の逆襲」(11/30号)、「貴乃花が激怒した白鵬の『暗黒面』」(12/7号)、「貴乃花vs.白鵬『八百長』」の真実」(12/14号)、「貴乃花が許せない相撲協会“三悪人”」(12/21号)、「貴乃花vs. 白鵬・相撲協会 本誌しか書けない全真相」(12/28号)、「貴乃花激白」(1/4・11号)、そして1月10日発売は「『貴乃花はクスリをやってるみたいに異様』と吹聴していた池坊保子」と、毎号、それもほとんどが巻頭特集で、貴乃花寄りの記事である。

これでは貴乃花の広報誌といわれても仕方ないのではないか。

文春ともあろうものが、なぜ八百長疑惑を聞かないのか

それもご丁寧に今週号では、昨年12月28日の臨時理事会後に、相撲協会が行った会見で、貴乃花が「週刊誌の取材に応じていない」と語ったといわれたことに、「他紙については知る由もないが、貴乃花親方が小誌に証言したのは言うまでもなく事実である」として、貴乃花に「週刊文春に心情の一端を明かしたのは事実です」とわざわざいわせているのだ。

だが、せっかく本人に会えても、コメントは「ここまで、一連の経緯に対して納得しているわけではありませんが、まずは土俵を支える力士たちの本分を取り戻させるのが大切だと思っています」という、優等生的なものしか引き出せていない。

おいおい、モンゴル力士たちの八百長疑惑について聞かないのかよ、文春ともあろうものが。

たしかに八角理事長率いる相撲協会のガバナンスのなさ、隠蔽体質、責任感の欠如はもっと批判されていい。

白鵬の大人げない言動は、大横綱らしくないと、私も思う。

明らかに週刊誌が貴乃花側に操作されている

だが、貴乃花を「正義の人・改革者」、白鵬を「悪者・品格がない」という単純な図式の中に押し込み、白鵬を取り巻くモンゴル人力士たちへの日本人の「偏見」を助長するやり方には疑問を感じる。

私が週刊誌を読む限り、貴乃花が相撲界をこう改革すると、具体的な構想を披歴したことはない。