【楊】また、うちには3Dプリンターもあるので、女性社員の顔をコピーしたドールもあります。ぜひご覧ください。

EX社社員の女性の顔を3Dプリンターでコピーして、ドールのボディに登載。なお、本人了承済みとのことである。

――これはちょっと見ただけでは、本物の人間と見分けがつきませんね。

【楊】将来的には、アイドルの全身を3Dコピーして可動機能とAIを登載して、中国全土の会社の「受付嬢」をアイドルだらけにするのが夢です。いつかやってみたいものです。

――夢のある計画ですが、AIは商品化水準までどのくらい開発が進んでいるんですか?

【楊】65%~70%くらいですね。

――日本市場への参入の計画はありますか?

【楊】現時点ではありません。ただ、興味はありますよ。日本の研究機関や企業から連絡が来るならうれしい。私も(AI開発指揮者の)李博士も、日本に留学していましたから日本語はしゃべれますしね。

――今後、「受付嬢アンドロイド」がヒットしたらラブドール製作から撤退するのでは?

【楊】しないと思いますよ。むしろ技術を昇華させて、セクサロイドを作りたいです。

――ありがとうございました。

中国におけるベンチャー投資は7兆円規模

近年、日本では中国のイノベーションやニュー・エコノミーがしばしば話題に上がる。それを支えるのが、活発なベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の存在だ。中国におけるベンチャー投資は7兆円規模といわれている。日本は1500億円程度というから、その規模はケタ違いだ。こうした資金獲得に恵まれた環境が、ラブドールベンチャーの株式上場やロボット開発といった、異次元の展開を生む背景となっているようだ。

過去、18世紀には蒸気機関の発明による第一次産業革命でイギリスが台頭。また、20世紀前半の石油や電器動力の活用による第二次産業革命や、20世紀終盤からのIT革命(第三次産業革命)がアメリカの台頭をもたらすなど、技術革新と国家の覇権は密接な関係を持ってきた。

現在、AIやロボティクスは次の産業革命の本命のひとつと見られており、中国は次のイノベーションの勝者になるべく技術革新を続けている。中国国家主席の習近平が、将来の中国の体制を支える「新発展理念」のひとつとしてイノベーションの重視を明言しているのも、そうした理由からだ。

近い将来、大連市郊外の片田舎にあるラブドール企業が、人類の歴史を塗り替える――。ひょっとしたら、そんな未来があるかもしれない。